2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700004
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 佑輔 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40581591)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
辺素パス問題は,グラフマイナーアルゴリズムを用いて解決された最も有名な問題の一つである.また,辺素パス問題は,奇数長の閉路を詰め込む問題に容易に帰着できることが知られており,この事実から奇数長閉路の詰め込み問題は理論計算機科学や離散数学において興味深い問題として認識されている.本年度,離散数学のトップジャーナルである Journal of Combinatorial Theory, Series B に採録された我々の論文 "Edge-disjoint odd cycles in 4-edge-connected graphs" は,4辺連結グラフにおいて,奇数長閉路の詰め込み問題と奇数長閉路の被覆問題の間に,ある種の双対の関係が成り立つことを示している.4辺連結の仮定を置かないときにはこの双対関係は成り立たないことが知られており,本研究成果は,双対性が成り立つ場合と成り立たない場合の本質的な違いの解明に繋がるものであると考えられる.さらに,同じ議論を用いて,奇数長閉路の詰め込み問題に対して効率的なアルゴリズム(固定パラメーターアルゴリズム)を与えている.また,辺素パス問題に対する同様の結果である "The edge-disjoint paths problem in Eulerian graphs and 4-edge-connected graphs" も組合せ論のトップジャーナルである Combinatorica に採録された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
詰め込み問題(パッキング)と被覆問題(カバーリング)は双対の関係にある最も基本的な形式の問題であり,奇数長閉路の詰め込み問題や辺素パス問題(すなわちパスの詰め込み問題)に対して効率的アルゴリズムを与えたことは本研究課題を進展させる成果であるといえる.また,特殊なグラフにおいてはグラフマイナーアルゴリズムの議論を単純化できることが証明の鍵となっており,グラフマイナー理論と双対性の両方を用いた結果であるといえる.このように研究成果は十分に得られている一方で,研究発表は学会開催時期などとの兼ね合いで十分できておらず,やや遅れているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究に引き続き,辺素パス問題やある種の条件をみたすサイクルの詰め込み問題など,グラフ上の様々な詰め込み問題(パッキング)や被覆問題(カバーリング)に対して,グラフマイナー理論に基づいた効率的アルゴリズムを構成し,双対概念を用いた解釈を行う.また,今まで得られた結果の成果発表および論文執筆を行う.
|
Causes of Carryover |
2015年4月に研究機関の変更に伴い,研究環境のセットアップに想定以上の時間を要し,当初計画が遅延しているため.また,学会開催時期との兼ね合いで,研究成果発表の機会が28年度になる見込みのため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額については28年度に行われる研究集会(詳細未定)に参加して研究成果を発表する際の旅費として使用する予定である.
|