2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700016
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
名古屋 孝幸 鳥取環境大学, 公私立大学の部局等, 講師 (90349796)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グラフ最適化問題 / 近似アルゴリズム / differential ratio |
Research Abstract |
グラフに関する多くの最適化問題はNP-困難であり,最適解を多項式時間で求めるアルゴリズムは存在しないであろうと予想されている.そこで,それらの問題に対して近似解を高速に求めるための近似アルゴリズムの研究が盛んになされている. 本研究の目的は,配送計画問題や巡回セールスマン問題などの代表的なNP-困難な組合せ最適化問題に対して,differential ratioにもとづく高精度な精度保証付き近似アルゴリズムを設計することである. 各車両が配送できる顧客数の上限をkとした配送計画問題(k-VRP)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムが知られている.本研究では,入力グラフの辺重みを1および2に制限したk-VRP(1,2)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムについて検討した.また,巡回セールスマン問題(TSP)の最大化バージョンであるMaxTSPに対しても,differential ratioにもとづく近似アルゴリズムの開発を検討した. Optimal Euler Circuit Problem(OEC)は,手書き線画像から筆順を復元する問題をある種の最適な構造を持ったオイラー閉路を求める問題として定式化したものであり,NP-hardであることが示されている.本年度は,OECと関連が深い最適なオイラー道を求める問題に対する効率的なアルゴリズムを設計し,その応用についても検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は次の2点を目標としていた.目標1:入力グラフの辺重みを1および2に制限した配送計画問題k-VRP(1,2)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムを設計する.目標2:巡回セールスマン問題(TSP)の最大化バージョンであるMaxTSPに対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムを設計する. 目標1を達成するために,J. Monnotらにより開発されたTSP(1,2)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムのアイデアを応用する予定であったが,技術的な困難が伴うことが分かった.また,目標2を達成するために,研究代表者が設計したMaxTSPに対するstandard ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計手法を応用する予定であったが,これも技術的な困難が伴うことが分かった.そのため,これら2つの問題に対するアルゴリズムの開発はやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で計画していた2つの目標,k-VRP(1,2)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計およびMaxTSPに対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計を継続して行う.これらの研究課題については,当初予定していた手法の適用が困難であるため,別の手法を調査し,その適用を試みる.また,入力グラフの辺の重みを閉区間[a,b]に含まれる整数に制限した場合のk-VRPに対する,differential ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計も試みる. Y. QIAOらによって提案されたOptimal Euler Circuit Problem (OEC)は,手書き線画像から筆順を復元する問題を,ある種の最適な構造を持ったオイラー閉路を求める問題として定式化したものであり,NP-hardであることが示されている.本年度は,OECと関連が深い最適なオイラー道を求める問題に対する効率的なアルゴリズムを設計し,より実際的な問題への応用についても検討した.今後はOECおよびそれに関連した問題の計算量やより効率の良いアルゴリズムの設計を検討する.また,より実際的な問題として,手書き線画像の筆順を復元する問題への応用も試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
k-VRP(1,2)に対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計およびMaxTSPに対するdifferential ratioにもとづく近似アルゴリズムの設計については,次年度においてさらなる調査・資料収集が必要となった.したがって,調査・資料収集を継続するための旅費および成果発表のための旅費として研究費を使用する.また,Optimal Euler Circuit Problemやそれに関連した問題に対するアルゴリズムの設計および実際的な問題への応用についても継続して研究を進める.これらの課題に対する調査や実験機材の調達のための費用として研究費を使用する.また,得られた成果を発表するための旅費としても研究費を使用する.
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