2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700016
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
名古屋 孝幸 鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 准教授 (90349796)
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Keywords | グラフ最適化問題 / 近似アルゴリズム / グラフ同型性判定問題 |
Research Abstract |
グラフに関する多くの最適化問題はNP-困難であり,最適解を多項式時間で求めるアルゴリズムは存在しないであろうと予想されている.本研究の目的は,NP-困難な組合せ最適化問題に対して,高精度な近似アルゴリズムを設計することである. 手書き線画像からその筆順を復元する問題は,手書き文字認識や筆跡鑑定等の応用から,これまでに多くのアルゴリズムが提案されてきた.それらのアルゴリズムの多くは,線画像の分岐点における筆記運動のスムーズさをその筆順の自然さの尺度として用いている.本研究では,筆順の自然さの尺度としてスプラインを用いることで,自然な筆順を復元するためのアルゴリズムを設計した. 線画像を無向グラフとして表現することで,筆順の復元問題をある種のグラフ上の最適な経路を求める問題として定式化できる.しかしながら,この問題の最適解を求めるための多項式時間アルゴリズムは知られておらず,また,多項式時間で最適解が求まるような自明でないグラフクラスも知られていない.実際、上記のアルゴリズムも含めて,この問題に対するアルゴリズムのほとんどは発見的手法に基づくものであり,得られる解の精度に理論的な保証のあるアルゴリズムも知られていなかった.本研究では,Double-traced lineのような複雑な構造を持った手書き線画像に対応するグラフクラスを帰納的に定義し,このグラフクラスに対しては線形時間で最適解が求まることを証明した. 上記の問題以外にも,クリークサイズを制限したグラフに対する制約付きグラフ同型性判定問題を解くためのアルゴリズムについて,論文としてまとめて公表した.
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