2013 Fiscal Year Annual Research Report
論理推論を基にした合理的秘密分散プロトコルの安全性検証法の構築
Project/Area Number |
24700022
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長谷部 浩二 筑波大学, システム情報系, 助教 (80470045)
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Keywords | 数理的技法 / 安全性検証 / 秘密分散プロトコル |
Research Abstract |
本研究は,合理的秘密分散プロトコルの安全性検証法を,論理推論をもとに構築することを目的とする.昨年度に引き続き,今年度は,これまで研究代表者らによって構築したpublic annnouncement logicの派生体系を用いて,目的とする論理体系の構築を目指した.特に,合理的秘密分散プロトコルにおけるコイン投げの結果などの確率論的概念の表現などを対象に研究を進めた.そのためのアプローチとして,今年度は動的様相を用いない代わりに一階述語論理を用いた言語による定式化を行った.本研究の中心課題である合理的秘密分散プロトコルの安全性検証法については,今年度中にその成果を発表するまでには至らず,現在,国際会議論文としてまとめ,投稿の準備をしている段階である.しかしながら,先述の確率論的概念の定式化の研究を通じて,本研究課題に関連する暗号プロトコルの確率論的・計算論的な安全性証明を行うための論理体系を考える上でも有用であることが分かり,その研究成果を国際会議や国内の研究集会などで発表した.また,それまでに得られた論理体系は,合理的秘密分散プロトコルの安全性証明のみならず,1980年代後半に暗号プロトコルの安全性証明手法として考案されたBAN論理のアイデアを,public announcement logicやdynamic epistemic logicなどを用いて再構成するというアイデアを得ることができた.今後の研究の展開として,こうしたアイデアをもとに,合理的秘密分散プロトコルを含めたより一般的な暗号プロトコルを対象に,ネットワーク参加者らの知識の形成過程と安全性との関係を論理推論体系によって明らかにすることを計画している.
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