2012 Fiscal Year Research-status Report
スケジューリングと計算リソース量を柔軟に制御できる投機計算を考慮した分散計算環境
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24700023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 大作 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80345272)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 投機的実行 |
Research Abstract |
必ずしも全ての計算が必要にならない、投機的な計算を含む問題を、大規模な分散計算環境を用いて効率よく解くことは難しい。そのためには(1)部分計算のスケジューリング(2)利用する計算リソース量、の2つを適切に設定することが必要となるが、現在の汎用的な分散プログラミング環境ではこれらを十分に制御できない。そこで本研究では、投機計算を多用するゲーム木探索問題を例題とし、(1)(2)の要素をプログラマが柔軟に指示できるような分散プログラミング環境を設計、構築し、大規模探索問題の分散計算による高速化実現を目的としている。これに対し、平成24年度には、投機的な計算を持つプログラムモデルを対象とした分散計算フレームワークを設計し、試験実装を行った。 設計に際しては、ゲーム木探索問題の性質を深く理解して要求を精緻化する必要がある。このため、種々のゲーム木探索の分散計算アルゴリズムに関して研究を行い、その一部について「横山 大作, "モンテカルロ木探索アルゴリズムの将棋への適用", 第17回ゲームプログラミングワークショップ, pp. 76--83, 2012」として発表を行った。また、利用リソース量を適切に設定する機能に関して、その要求を精緻化するために実問題及び実環境で研究を行い、一部を「横山 大作, 田浦 健次朗, 喜連川 優, "電力を考慮したプログラミングのためのシステム構築に関する検討", 第90回プログラミング研究会, 2012」として発表を行った。また、その発展を「横山大作,喜連川優,"電力を考慮したアプリケーション構築のための計算機システムの提案"」としてSACSIS2013に投稿し、採録が決定している。これらの知見をもとに、対象問題が必要とする機能を理解し、設計を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、投機的な計算を持つプログラムモデルを対象とした分散計算フレームワークを設計し、試験実装を行う、というものであり、これを達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、24年度の成果である設計を元に提案手法の本格実装を行ない、性能面の評価と改善を行う。また、成果物の公開に向けた整備を行なう。さらに、より大規模かつ実世界に近い動的な実験環境での評価、大規模な実問題への応用を通して、実用性の評価と向上を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、本格実装の性能評価を行うため、大規模な実問題に提案フレームワークを適用し、大幅に計算環境規模を変えつつ長時間に渡って解き続ける実験を行う必要がある。この実験に伴う開発、及び大規模計算機を時折借用しつつ大規模問題を継続的に解き続けるために継続的に占有して利用する計算機として、大規模データを処理可能な計算機が必要になる。また、最新の研究成果を素早く反映し、本提案の有用性を向上させるために、国際学会、国内学会への参加も必要である。
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Research Products
(3 results)