2012 Fiscal Year Research-status Report
非正則なデータ構造上の非数値計算問題に対するスケルトン並列プログラミングの応用
Project/Area Number |
24700025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江本 健斗 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00587470)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生成検査集約プログラミング / スケルトン並列プログラミング / 並列木準同型 / MapReduce |
Research Abstract |
まず,非正則なデータ構造であるグラフへの拡張を念頭に,非数値計算問題に対する並列プログラムの容易な記述と効率的計算とを提供できると期待される生成検査集約プログラミング手法の木構造への拡張を行った.生成検査集約プログラミングでは,プログラマは並列プログラムを(1)考慮すべき部分構造を全生成する,(2)制約を満たさないものを破棄する,(3)制約を満たすものから最終結果を得る,という形の愚直なプログラムとして設計し,言語システムがその愚直で非効率なプログラムを自動的に効率の良いプログラムに変換し実行する.以前の生成検査集約プログラミングは部分構造として列のみを扱っていたが,今回の拡張により木構造の部分構造まで統一的に扱えるようになった. 次に,木構造を対象とした並列計算の基本的な計算パタン(並列スケルトン)である木準同型を,大規模非数値計算を行う枠組みとして広く世界で利用されている MapReduce の上に実現する方法を研究し,プロトタイプを実現した.これにより,木構造を対象とした生成検査集約プログラミングの MapReduce 上での実現の可能性が示された. また,MapReduce 上に生成検査集約プログラミングを提供するためのライブラリの実装を行った.このライブラリにより,生成検査集約プログラミングの実現可能性と有用性とが複数の問題例を通して示された.同時に,最新のプログラミング言語の機能を駆使することで,生成検査集約プログラミング手法の強力な最適化機構もライブラリ内に自然に実現可能であることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定式化の観点では,生成検査集約プログラミング手法の木構造への拡張により,グラフの木分解手法と組み合わせることで,非正則なデータ構造を扱う記述性の高い(すなわち様々な問題に再利用できる)スケルトンとして並列木順同型に基づく部分木構造生成子や集約子が利用できることが示された. また,実現の観点からは,生成検査集約プログラミング手法ライブラリのプロトタイプ実装により,生成検査集約プログラミング手法が MapReduce (Hadoop) 上に実現可能であることが示された.特に,その強力な最適化機構も最新のプログラミング言語の昨日を駆使することで自然に実現可能であることが示された. これらにより,研究が概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
理論の観点からは,木準同型よりも複雑な再利用可能なグラフアルゴリズムを並列スケルトンとして定式化することを目標とする.このために,既存のグラフアルゴリズムの整理と共に,それらの再利用(問題の帰着)について整理する.その結果を踏まえ,基礎となるアルゴリズムを分解し生成検査集約プログラミングのための生成子と集約子の抽出を試みる. 実現の観点からは,プロトタイプの最適化機構を他のライブラリに応用できる技術として整理すると共に,生成検査集約プログラミング手法ライブラリの開発・改良を進める. また,理論・実装ともにその成果を適宜学会等で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
若手研究者の長期海外派遣の期間と本研究で予定していた海外出張の時期が重なり,また,それらの用務地が近かったことから,後者の旅費の予定額分だけ次年度に使用する予定の研究費が生じた. 本研究費は,研究効率向上のため,次年度に請求する研究費に計上されている実験用小規模クラスタの購入費用と合算し,その規模を拡大することに使用する.
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