2012 Fiscal Year Research-status Report
性能可搬性を提供する仮想計算機マイグレーション技術の研究
Project/Area Number |
24700040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高野 了成 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 主任研究員 (10509516)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ソフトウェア / 計算機システム / ネットワーク / 仮想計算機 / 高性能計算 |
Research Abstract |
本研究は、EthernetとInfinibandなどそれぞれ異なる通信インタフェースによって接続されたクラスタ計算機を跨ぐ仮想計算機マイグレーションを実現し、アプリケーションプログラムから透過に、かつ計算機環境の変化に適応して最大の通信性能を達成する性能可搬性を実現することを目的とする。平成24年度は、高性能計算分野でデファクトとなっているMPI (Message Passing Interface)プログラムを対象にシステムの概要設計を行い、InfinibandをPCIパススルーで用いた場合のライブマイグレーション機能を仮想計算機モニタKVM上に設計、実装した。PCIパススルーを利用することで仮想計算機でも物理計算機に匹敵する通信性能を得られていたが、従来技術では仮想計算機をマイグレーションすることができなかった。本技術を用いることで、PCIパススルーの性能上の利点を損なうことなく、マイグレーションおよびチェックポイント・リスタートが可能となった。これには、高性能計算分野など、高性能と耐故障性の両立が必要となる分野においても仮想化技術が適用可能になるという意義がある。本成果について、2012年10月に米国シカゴ市で開催された国際会議IEEE eScience 2012にて発表した。さらに、本技術をディザスタリカバリ対策に応用することを検討し、大規模災害時でも遠隔地に仮想計算機をマイグレーションすることで、サービスを継続するための技術を開発し、その予備評価を行った。本成果について、2013年3月タイ国バンコク市で開催された国際ワークショップPRAGMA 24にてポスタ発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、仮想計算機モニタKVMとゲストOS内のOpen MPIシステムを連携させることで、InfinibandデバイスをPCIパススルーで用いた場合のライブマイグレーション機能を実現した。さらに研究を前倒しで進めるために、産総研所内のPCクラスタ計算機を用いて平成25年度に計画していた仮想クラスタマイグレーション機構も開発した。その研究成果について、国際会議IEEE eScience 2012で発表した。また、当初予定していなかったディザスタリカバリ対策としての応用について検討、予備評価することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したマイグレーション機能を拡張し、EthernetやInfinibandなど、異なる通信デバイスを有する計算機クラスタ間における仮想計算機マイグレーションを実現する。その成果について国際会議などで発表を目指す。さらに、実用性の向上を図るため、CloudStackなどクラウド管理ミドルウェアと連携機構を開発し、ディザスタリカバリなどのユースケースに沿った仮想クラスタマイグレーション技術の開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、仮想計算機イメージ格納用の共有ストレージの購入、消耗品、および以下に記す旅費に充当する。研究成果発表の場として、5月に米国ボストン市にて開催されるIEEE International Parallel & Distributed Processing Symposium(IPDPS 2013)併設ワークショップ、8月に北九州市で開催される情報処理学会OS研究会での口頭発表を計画する。研究動向調査として、10月に米国ファーミントン市にて開催されるACM Symposium on Operating Systems Principles (SOSP 2013)に参加する。
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