2013 Fiscal Year Research-status Report
性能可搬性を提供する仮想計算機マイグレーション技術の研究
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24700040
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高野 了成 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 主任研究員 (10509516)
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Keywords | ソフトウェア / 計算機システム / ネットワーク / 仮想計算機 / 高性能計算 |
Research Abstract |
本研究は、EthernetやInfiniBandといった異なる通信インタフェースをもつクラスタ計算機を接続し、その上でクラスタ計算機を跨ぐ仮想計算機マイグレーションを実現し、アプリケーションプログラムからすべてのクラスタ計算機が透過的に扱えるようにし、かつ計算機環境の変化に適応して最大の通信性能を達成する性能可搬性を実現することを目的とする。 3年計画の2年目にあたる平成25年度は、昨年度開発した仮想計算機マイグレーション技術を発展させ、異なる通信インタフェースをもつクラスタ計算機を跨ぐマイグレーション機構Ninja migrationを新たに設計、開発した。本技術により、昨年度実現した仮想クラスタ環境における高性能I/Oに加えて、アプリケーションの実行を止めることなく、要求性能やコストを基準に、実行環境を選択、移行する自由度が高まった。これはクラウド環境における柔軟な運用やディザスタリカバリに資する機能である。本成果について、2013年5月に米国ボストン市で開催された国際会議IEEE IPDPS 2013併設のHigh-Performance Grid and Cloud Workshop、国際論文誌IEICE Transactions on Information and Systemsにて発表した。 本機構の普及、展開の一環として、クラウドミドルウェアApache CloudStackへのPCIパススルーおよびSR-IOV対応を開発し、さらに産総研内のプライベートクラウドにおける利用に向けて準備を進めている。本成果について、2014年2月にタイ国プーケット市で開催された国際会議ICOIN 2014、および同年3月にタイ国バンコク市で開催されたICT-ISPC 2014で発表した。なお後者の論文はBest paper awardを受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り異種のデバイスを有するクラスタ間でのマイグレーション機能(Ninja migration)を設計、実装した。資源管理システムとの連携として、当初はGridARSを想定していたが、産総研所内のプライベートクラウドでの利用を検討した結果、Apache CloudStackを選択した。Ninja migrationとCloudStackとの連携方法を設計し、その実現に必須となる、PCIパススルーおよびSR-IOV対応をCloudStackに実装した。また、国際論文誌1本、国際会議3本、国内会議1本と想定以上の成果を出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
CloudStackで管理されるプライベートクラウド環境上でNinja migrationを実現する。さらに、外部の商用クラウドもしくは広域網を模擬したクラスタ環境への、仮想クラスタマイグレーションの性能評価を行い、システム全体としての評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度7月における人事異動により、1年間は海外出張が難しくなったため、予定していた研究動向調査を実施できなかった。また、評価実験を産総研所内のクラスタを用いて行ったため、追加のサーバ購入を見送った。 次年度の研究費は、計算機使用料および商用クラウド使用料、消耗品、および以下に記す旅費に充当する。研究成果発表の場として、8月に新潟市にて開催される情報処理学会OS研究会、3月のACM VEE 2015での口頭発表を計画する。研究動向調査として、10月に米国ブルームフィールド市にて開催されるUSENIX OSDI 2014に参加する。
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