2012 Fiscal Year Research-status Report
ディザ信号を応用する事で無線LANチップの受信回路部を安価に実装可能にする技術
Project/Area Number |
24700049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兼本 大輔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (90603332)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 1bit A/D変換 / ディザ信号 / RF回路 / WLAN |
Research Abstract |
今年度は,ディザ信号の効果の検討および,ディザ信号発生機能を有した1bit分解能A/D変換器の試作を行った.ディザ信号生成回路とそのディザ信号をA/D変換部に加算を行う回路を考案し,設計を行った.設計には0.18μm CMOSプロセスを利用した.設計により得られた回路図を基に,LSIマスクパターンを作成した.コンパレータ部は約0.007平方ミリメートルに抑えることが可能である事を明らかに出来た.また,実際の通信路で発生する歪みやノイズを考慮した信号を用い,試作LSIの評価に利用することで,リアリティの高いBER特性を明らかにすることが出来た. 本研究に関連した成果として「量子化雑音の影響下の定包絡線変調システムにおける非線形等化技術」の特許を出願したことや,3件の学会発表を行うなど,順調に研究が進んでいると言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,ディザ信号発生機能を有した1bitA/D変換器を0.18μm CMOSプロセスを用いて,試作・動作確認を行った.本A/D変換器の動作も確認出来ている事から,概ね計画通りに研究が進んでいることがわかる.占有面積もアナログ部で0.007平方ミリメートルという小面積化を実現しており,無線器の受信部回路小面積化に大きな可能性を示すことが出来た.また,3件の学会発表や本技術に関連した特許を出願出来ている事から,学術的・産業的にも大きな成果が得られていることがわかる.
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Strategy for Future Research Activity |
計画はおおむね順調に進展している.そこで平成25年度は,平成24年度に試作した1bitA/D変換器を基に,さらなる効果的なディザ信号を解明することでBER特性の改善を狙う.また,そのディザ信号を有したA/D変換器の特性を考慮した,無線受信器部のシステムも検討する.仮に,計画通りに進まないトラブルが発生しても,本研究の共同研究者と緊密なディスカッションを行うことで,システム・回路実装の両面から,迅速な軌道修正を実現する研究体制を確保できることになっている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては,研究費を旅費・電子部品などの消耗品購入費・人件費に充てる予定である.旅費としては,無線通信器テスタ等を利用する為に九州大学や実証センターへの出張を検討している.成果はIEEE系の国際会議で発表予定であるため,その旅費にも充てる. 消耗品費として,試作チップ測定に利用する電子パーツ購入費や,測定基板外注費等に充てる予定である.人件費としては,設計・評価補助として大学院生を雇用する費用として計上予定である.
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