2012 Fiscal Year Research-status Report
複雑領域に対する陰関数ベース高速メッシュレス解析システムの開発
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24700053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
伊東 拓 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (80433853)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハイパフォーマンス・コンピューティング / GPGPU / メッシュレス法 / 陰関数曲面 / B-Spline |
Research Abstract |
平成24年度は,高速メッシュレス解析システムにおいて,領域を表す際に使用する陰関数の生成法について検討した.陰関数生成法としては,B-Splineを利用した方法を改良したものを用いた.従来の方法では,まず,入力点群からMPU法などを利用して一旦通常通りに陰関数を生成した後,その陰関数から格子状に関数値を獲得し,それらをB-Splineによって結合することで,高速に関数値計算可能な陰関数を生成可能とした.一方,我々は,一旦陰関数を生成するプロセスを不要とし,関数値の代わりになる値を入力点群から直接獲得可能とする方法を提案した. CPU環境における提案法の実装によって,従来法よりも高速に格子状のデータを獲得でき,陰関数の関数値計算も高速に実行可能であることを確認した.また,提案法から生成された陰関数の入力点群上における精度は,従来法と数値的に同程度であった.従って,CPU環境においては十分なパフォーマンスを持っており,次年度以降はGPU環境での実装にシフト可能であるといえる. 一方,メッシュレス法の研究として,同法において現れる連立1次方程式の解法についても研究し,高速に解くための指針の一例を示した.また,FDTD法にメッシュレス法で用いられる形状関数を組み込むことで,複雑な形状の導波管における電磁波伝搬シミュレーションを容易にする方法についても研究を行い,現時点では2次元問題のシミュレーションコードを開発している. 研究成果は,国内外の会議や研究会で積極的に発表した.また,幾つかは論文としても投稿している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,メッシュレス解析システムにおいて解析領域を表すために使用する陰関数について検討し,同システムにおいて求められる性能を持った陰関数をCPU環境で実装することを目的に,研究計画を立てた.実際には,計画段階での構想とは別の方法となったが,メッシュレス解析システムにおいて求められる陰関数を実装し,CPU環境において十分なパフォーマンスを持っていることを確認できた.また,この研究成果については研究会で発表し,今後のGPU環境における実装などについて参加者と議論することができた.現状の研究経過状況より,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,最新のGPU環境を導入し,GPU上で陰関数の関数値計算が並列に高速計算できるように実装することを目標とする.その際には,平成24年度にCPU環境で構築したアルゴリズムをベースに実装する.GPU上で関数値計算を並列に高速計算するためには,生成されたローカル関数の全てが同じ関数表現で定義されている必要がある.なぜならは,GPU上で並列に関数値を計算する際,どの位置で関数値を計算しても同様の計算をすることになり,これはGPUが得意とする計算だからである.現状CPU環境で実装した陰関数生成法はローカル関数がB-Splineに基づいており,前述の用件を満たしている. 平成26年度は,これまでにGPU環境で実装した陰関数を用いて,メッシュレス法で現れる連立1次方程式の係数行列の要素計算(以下,行列要素計算)を高速化することを計画している.行列要素計算における数値積分をする際に,メッシュレス法で最もよく用いられるのは,バックグラウンドセル(以下,BGセル)を使う方法である.BGセルとは,領域積分の積分範囲を適度な大きさに分割するためのものであり,解析領域をBGセルで覆い尽くしさえすれば,入力節点とは無関係に生成してよい.従って本研究では,BGセルが陰関数生成時に利用する小領域と全く同じになるように生成する.そうすることで,BGセルと小領域の管理を統一可能なため,GPU上のメモリに保存するデータ量を減らすことが出来る.また,数値積分の際に陰関数の関数値計算が必要になるが,BGセルと同じ番号のB-Splineを参照すればいいため,GPUを用いて並列計算する上で都合がよい.陰関数の関数値計算を並列に実行できる状況が整えば,行列要素計算は各BGセルごとに完全に独立な処理になるため,GPU上での並列化は実現可能であると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず,平成24年度に3Dレーザースキャナから獲得したデータを加工するためのソフトウェア(Roland DG社・Pixform Pro II)を購入予定であったが,同様の処理が可能なフリーウェア(3Dシステムズ社・Rapidform XOM)が提供されていることが年度途中で分かった.したがって,Pixform Pro IIの購入を見送り,Rapidform XOMで代用した.Pixform Pro IIに使用する予定であった研究費は,国際会議発表を予定より増やした際の旅費に充当するなどしたが,最終的に415,308円を次年度に繰り越した. 翌年度以降の研究費と合わせた使用計画としては,まず,最新のGPUを搭載したPCを組み立てるために,各種PCパーツを購入することを計画している.特に,GPUはNvidia社・Tesla K20 (399,000円)の購入を考えており,同GPUが安定的に動作するようなPCパーツ(合計で300,000円程度)を揃える.また,国際会議および国内での学会大会・研究会等への参加も,それぞれ2回以上を計画しており,その際の旅費(600,000円程度)・登録費(260,000円程度)に使用することを考えている.加えて,研究代表者が使い慣れているMac OS Xを搭載したPC (350,000円程度)も,論文執筆やデータ処理だけでなく,Mathematicaを用いた数値計算などの処理を円滑に進めるために購入することを計画している.
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Research Products
(18 results)