2013 Fiscal Year Research-status Report
複雑領域に対する陰関数ベース高速メッシュレス解析システムの開発
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24700053
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
伊東 拓 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (80433853)
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Keywords | ハイパフォーマンス・コンピューティング / GPGPU / メッシュレス法 / 陰関数曲面 / B-Spline |
Research Abstract |
平成25年度は,まず,前年度にCPU環境において実装した陰関数生成アルゴリズムを改良した.具体的には,解析対象領域表面においてのみ陰関数の値が0になるべきであったが,表面から離れたところでも0になってしまう例が見つかったため,表面から離れた位置で必要な計算のアルゴリズムを見直した.結果として,陰関数として自然な値の変化をするようになり,アルゴリズムの安定性が高まった.なお,計算量はほとんど変化していないため,計算速度も前年度と同様である.また,GPUへの実装は,改良した方法の論文投稿を優先させたため,平成25年度には終えていないものの,改良版もB-Splineに基づいているため,GPU向きのアルゴリズムであることについては前年度から変わっていない. 一方,メッシュレス法については,前年度に引き続き,FDTD法にメッシュレス法の形状関数を組み込んだ方法を用いて,複雑な形状の導波管における電磁波伝搬シミュレーションの研究を行った.具体的には,まず,同法を用いたシミュレーションの安定性について理論的に考察し,安定化のために最低限満たす必要のある条件を示した.一方,同法によるシミュレーションの高速化のために,新しい形状関数の導入を試みたが,前述した条件を満足しただけでは安定化させることが難しかった.従って,他の安定条件の存在が予想されるが,それを理論的に導くことはできなかった.しかしながら,幾つかの数値実験によって獲得したデータを基に,形状関数変更時に安定性を保ったまま高速化させる方法について,具体的なパラメータと共に示した. 上述の研究成果は,国内外の会議や研究会で積極的に発表した.また,幾つかは論文として投稿しており,何報かは既に採録が決定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,まず,陰関数生成アルゴリズムを改良し,従来と計算速度を同等に保ったまま,安定性を向上させた.また,同アルゴリズムのGPU環境における実装は終わっていないものの,論文執筆を前倒しで行い,現在投稿中である.さらに,メッシュレス法の研究において進展があり,投稿した論文の幾つかは採録が決定している.以上より,全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,様々なメッシュレス法の高速化について取り組む.例えば,連立1次方程式が現れるメッシュレス法においては,連立1次方程式の係数行列を組み上げる処理の高速化が必要であるが,これは平成25年度までに実装した陰関数を利用することで,並列処理によって実現可能であると考えている.また,FDTD法にメッシュレス法の形状関数を組み込んだ方法についても,並列処理によって更なる高速化を目指す. 並列処理は,これまでの計画通りにGPUを用いて行うことを考えると同時に,近年開発されたMany Integrated Core (MIC)アーキテクチャを用いることも検討する.MICはGPUが苦手とする処理を扱うことが出来る場合があるため,メッシュレス法を低いコーディングコストで高速化できる可能性がある.GPUとMICを使用するための環境は現時点で整っているため,両環境での並列化を検討していくことで,最終的にそれぞれの環境に特化した高速化が実現できると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が使い慣れているMac OS Xを搭載したPCとして,平成25年12月に発売されたMac Proを購入するつもりであったが,人気の高いPCであったため,平成25年度内に納品することが難しいと判断し,発注しなかった.その結果,Mac Proの購入に充てようと考えていた約420,000円を平成26年度に繰り越すこととなった. 翌年度以降の研究費と合わせた使用計画としては,まず,国際会議および国内での学会大会・研究会への参加をそれぞれ2回以上計画しており,その際の旅費(350,000円程度)・登録費(120,000円程度)に使用することを考えている.また,平成25年度に購入できなかったMac Pro (420,000円程度)を購入するつもりである.その際に,Mac用のグラフ作成ソフトウェア(35,000円程度)を購入することも考えている.最後に,論文投稿料として75,000円程度を見積もっている.
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Research Products
(16 results)