2012 Fiscal Year Research-status Report
マルチプロセッサSoC向けカスタム命令自動生成技術
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24700054
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
瀬戸 謙修 東京都市大学, 工学部, 講師 (10420241)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | SoC / 高位合成 / ループパイプライン化 |
Research Abstract |
複数のプロセッサから構成されるシステムオンチップ(SoC)であるMPSoCにおいて、主要部品の一つであるカスタムプロセッサの設計期間短縮を目指して研究を行っている。カスタムプロセッサは、時間がかかるループ等の処理に特化したカスタム命令を追加することで、アプリケーションの高速化や省エネルギー化を可能とするプロセッサであるが、カスタム命令の設計期間短縮が課題となっている。今年度はまず、カスタム命令の性能評価に必要なプロセッサ開発に取り組んだ。プロセッサ開発では、C言語によるプロセッサの動作記述作成および高位合成によるパイプラインプロセッサの自動生成を行った。この開発成果により、カスタム命令とプロセッサを組み合わせた総合的な性能評価が可能な環境が構築できた。さらに、ループ処理の高速化に有効で、カスタム命令の開発でも利用する技術である、ループパイプライン化の課題解決に取り組んだ。ループパイプライン化では、データ依存グラフ中の閉路の処理に要するサイクル数が性能を決定するが、従来技術では、閉路に配列間のRAW依存が含まれ、かつ、それらのRAW依存が発生するかどうか実行前に事前に決定できない場合、悲観的に、常にRAW依存が発生するとしてパイプラインスケジュールを行うため、性能向上が不十分となる問題があった。本研究では,そのようなRAW依存に対して、配列に書き込むデータを一時変数にも書き込み、RAW依存が発生する場合には、データを一時変数から読み出す方法を開発し、例題に適用した結果、2.7倍の性能向上を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度までに、循環グラフ向けカスタム命令生成技術の開発、および、カスタム命令の性能評価環境構築を行う計画であったが、計画通りに進んでいるため。循環グラフ向けカスタム命令生成技術の開発では、従来のループパイプライン化技術の問題点を解決する技術を開発し、従来技術と比べて、2.7倍の性能向上を確認した。カスタム命令の性能評価環境構築では、プロセッサ開発に成功した。開発したプロセッサを用いることで、カスタム命令とプロセッサを組み合わせた総合的な性能評価が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
循環グラフ向けカスタム命令生成技術の自動化を進める。その際、高位合成ツールを活用して開発を進め、高位合成ツールが扱うことのできない処理の自動化を進める。また、生成されたカスタム命令ユニットのハードウェア記述を分析し、動作周波数削減に取り組む。さらに、構築した性能評価環境を活用して、プロセッサとカスタム命令を組み合わせたシステムの総合的な性能評価に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はベースプロセッサ開発における性能評価において、当初予定していた回路の配置配線後の性能評価が不要となり高位合成および論理合成後の性能評価のみでよかったため、またシミュレーション時間が短くて済んだため、新規Linuxサーバの購入が不要となり、次年度使用額が発生した。 翌年度分として請求した助成金と合わせ、次年度研究費を以下の通り使用する予定である。高性能Linuxサーバ一式を、高位合成や論理合成ツールだけでなく、時間のかかる配置配線ツールや、回路シミュレーションを短時間で実行し、効率良く性能評価を進めるために新規購入する。また、高位合成ツール(Forte社 Cynthesizerの1年間の使用ライセンス)を購入し,プロセッサ、カスタム命令の開発・改良を効率的に進める。さらに成果発表のための旅費や学会参加費、論文別刷り費用、印刷費として使用する。
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