2012 Fiscal Year Research-status Report
密結合型次世代光・無線ネットワークに適した高度通信制御技術
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24700057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西山 大樹 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (90532169)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ネットワークプロトコル / ネットワーク融合 / 光 / 無線 / PON |
Research Abstract |
本研究は、高速大容量光通信を可能にする一対多の光回線網であるPON(Passive Optical Network)と、ネットワークへの柔軟なアクセスが可能な無線メッシュネットワーク(WMN: Wireless MeshNetwork)の融合ネットワークにおいて密結合性を利用することによって通信品質を向上可能な高度制御技術の確立を目的としている。特に、経路制御技術、トラフィック制御技術、輻輳制御技術の3つの技術開発が軸となる。ただし、それぞれは全く独立なわけではなく、お互いに影響し合うことを考慮する必要がある。従って、本研究は(ステージA)光・無線ネットワークの密結合性を最大限利用した個々の技術の開発を行う段階、(ステージB)3つの技術をお互いに連携協調させるための技術の開発を行う段階、の2つに分けられる。 まず今年度はステージAの研究、特にトラフィック制御技術について研究を行った。光・無線両方のネットワークを効率的に無駄なく利用するためには、各ネットワークでトラヒックをどのように分散して配送するかを制御する技術が重要となる。WMNから光ネットワークへのトラヒックについて考えると、WMNから光ネットワークに流れるトラヒックを適切に制御することにより光・無線の融合ネットワークの性能が大きく向上すると期待できるため、WMNにおけるトラフィック制御技術としてトラフィック量ベースで制御する技術、ユーザ分布の変動によって制御する技術を考案し、シミュレーションによりネットワークの利用効率が向上することを確認した。これらの技術は、経路制御・輻輳制御技術と連携協調を図ることを念頭に入れており、相互作用する機能についてはモジュール化して作成している。これにより、次年度以降行う連携協調技術の開発がスムーズに行える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はステージAに該当する研究の一部を行うと計画していた。これに対し、今年度の成果として、経路制御技術、トラフィック制御技術、輻輳制御技術のうちトラフィック制御技術の開発を完了した。トラフィック制御技術は他の技術と比較してより重要かつ複雑な技術であること、トラフィック制御技術の概念を他の技術に適用可能なことから、来年度以降は今年度より迅速に研究成果が得られると期待できる。また、3つのコア技術の連携協調を考慮しトラフィック制御技術を開発したため、他の技術と相互作用する機能は独立して扱えるように設計しており、次年度以降行う連携協調技術がスムーズに開発できる。 以上の理由から、今年度の成果は当初の予定以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、今年度から継続してステージAの研究を行う予定である。今年度までに技術開発が終了しなかった経路制御技術、輻輳制御技術の2について独立して開発を行い、それが完了次第、3つの技術をお互いに連携協調させるための技術の開発を行う。 3つのコア技術の連携協調技術の設計において重要となる検討課題は、司令塔の役目を果たす機能をネットワークのどこに配置するかという問題であり、その点について検討を重ねる。各技術の連携強化の設計方針などを決める上で、光・無線ネットワークに関する研究や密結合性に着目した研究の最新動向情報を把握するため、これらの情報収集はもちろん、本研究の先駆性と優位性を発信することを目的として積極的に学会等に参加する。 考案した技術の性能評価は主にネットワークシミュレータを用いた実験によって行うが、今年度開発した技術と比較し、性能評価時に考慮すべきパラメータが多く、比較対象となる技術についても実験を行う必要出てくるなど、シミュレーションの量が増えることは間違いない。このため、シミュレータ用の計算機リソースを増強・並列化して行う。 提案手法が完成した後は、WMNとして様々なネットワークを想定し、それぞれにおける提案手法の性能を評価する。WMN の主な例としては、WiMAX(WorldwideInteroperability for Microwave Access)とWiFi(Wireless Fidelity)があり、より現実的なネットワーク環境において提案手法の性能を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
提案技術の開発及び性能評価実験はネットワークシミュレータを用いて行う。平成25年度は、シミュレートする環境や回数の増加に対応するために計算機リソースを倍増して並列化する必要があることから、そのための計算用コンピュータを計上する。また、平成25年度は、ある程度まとまった研究成果が期待されることから、国際学会での発表と国際ジャーナルへの論文投稿を計画しており、そのための旅費や登録料を計上する。また、関連研究資料の収集、実験の補助、実験データの整理、論文執筆補助などの作業には応募者が所属する研究室の大学院生を動員する予定であり、そのための謝金を計上する。
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Research Products
(1 results)