2012 Fiscal Year Research-status Report
人物・環境センシングの稼働時間拡大に向けた街規模センシング可否マップの構築
Project/Area Number |
24700062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榎堀 優 名古屋大学, 情報科学研究科, 研究員 (60583309)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ヒューマンプローブセンシング / ライフログ / モバイルセンシング / 人体行動理解 / ユビキタスコンピューティング |
Research Abstract |
初年度である平成24年度は解析用データの収集を主に実施した。収集したデータ内、整理できた11名のラベル付きデータを用いた成果はHASC (Human Activity Sensing Consortium) Challenge 2012で、データ収集貢献賞を受けた。 本研究の目的は「生活圏が全部ないし一部だけ重複する複数のユーザから収集したセンサデータを統合して、初めて訪れる場所などでも個人ライフログ解析を利用した場合と同様の省電力化やサービスを提供可能とする手法」を開発することである。従って、多様なユーザの日常生活データを収集・解析できることが重要である。 当初計画は、24年度中期より、愛知県重点研究プロジェクトP3G3S3(プロジェクト3グループ3サブグループ3)「超早期診断技術開発プロジェクト」と連携し、性別・年齢・生活範囲が異なる被験者の日常生活データを収集する予定であった。しかし、当該プロジェクトの経過や連携機関の調整などにより、24年度中のデータ収集に目処が立たなくなった。従って、研究計画に記載したとおり、研究室の学生らを被験者としてデータ収集実験の再設計を行い、前期に構築・改修したデータ収集機構を利用して、後期半ばから年度末に向けて下記のデータを収集した。 11名の被験者が最大3台のスマートフォンを保持し、プライバシーに問題が出ない10日間を選択して日常生活データを収集した。3機種のべ40台から、11(名)×7(日)×1(台)=1848時間分のラベル無しデータ、11(名)×3(日)×3(台)=2376時間分のラベル付きデータを収集した。今後は、被験者の生活圏重複部分の解析から個人間のセンサデータ統合手法を構築する。また、同一被験者が同機種・複数機種を同時に保持したデータの差異分析から、機種間・同一機種個体間のセンサデータ統合手法も構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度の当初目標の一つであった「生活圏の重複する複数名の日常生活データ」の収集が完了した。本データ収集は学生を主体とした少人数の実験となったため、スマートフォン台数に余裕が生まれ、かつ、取得状況管理が容易となった。そのため、当初の予定を大幅に超える2376時間分のラベル付きデータや、複数台の同時携帯による「異機種同時刻同人物のデータ」や「同時刻・異なる保持箇所(ポケット・カバン・手)・同人物のデータ」が取得できた。これにより旧来の構想に加え、「保持箇所差を考慮した人物内・人物間のセンサデータ統合手法の構築」や「機種間・同一機種個体間のセンサデータ統合手法の構築」を実施できる目処が立った。 センシング有効条件抽出手法については、2011年度の事前研究を元に拡張し、HASC (Human Activity Sensing Consortium) Challenge 2012で発表した。本成果は前述の2376時間分のラベル付きデータを利用しており、データ収集貢献賞を受けた。 一方で、概要でも述べたとおり、当初計画で予定していた愛知県重点研究プロジェクトP3G3S3(プロジェクト3グループ3サブグループ3)「超早期診断技術開発プロジェクト」と連携したデータ収集が実施できなくなった関係から、当初見込まれていた取得可能データから人数や多様性の縮小が予想される。データ取得開始時期が後退したことから、計画に半年程度の遅延が発生していると言わざるを得ない。 残念ながら、平成25年度も愛知県重点研究プロジェクトP3G3S3と連携したデータ収集は不可能である公算が高い。従って、今後は被験者数を独自に拡大しつつ、旧来の大規模人数データの解析から、データの質に重点を置いた中規模データの解析へシフトし、研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に収集した詳細ラベルの付きいた11名の日常生活データ日常生活データを基礎とし、旧来の大規模人数データの解析からデータの質に重点を置いた中規模データの解析へシフトしつつ、研究を進める。 前述のとおり、およそ半年の遅延が発生していることから、25年度の初期より差異補正手法の検討を迅速に開始し、並行して再補正後の統合センサデータの構築を始める。差異補正手法の確立についても、Wi-Fi AP クラスタ (アクセスポイント群のRSSIフィンガープリント) の補正を第一目標、Wi-Fiクラスタ間の移動を第二目標としていたものを並行して取り組むことで遅延を軽減する。 データ取得実験の規模縮小は、24年度の同規模のデータ取得実験を複数回繰り返すことで対応する。その際、詳細なラベル付きや同時保持箇所の拡張、機種の増加などにより収集データの質を高め、発展的分析を可能とする。合わせて、愛知県重点研究プロジェクトP3G3S3(プロジェクト3グループ3サブグループ3)「超早期診断技術開発プロジェクト」との連携も再開も模索し、可能であれば旧来想定していた100名規模のバラエティに富んだ被験者からのデータを収集し、分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度計画では、24年度の同規模のデータ取得実験を複数回繰り返すことで、データ取得実験の規模縮小に対応する予定である。従って、実験規模縮小による平成24年度繰越研究費と平成25年度予算を合わせて、データ取得実験費用に充てることを計画している。現時点での計画では2回ほどの取得実験を想定しており、合計80万円程度と見込んでいる。新設のデータ取得実験では、機種数と台数の拡張による取得データの質向上を目的として、2機種計10台程度のスマートフォン購入 (40万円程度) を合わせて計画している。 また、逐次更新型の街規模データベースの公開に向け、サーバ機種並びにドメイン購入などの運営費用の支出が想定される。これらの費用は時が経つにつれて費用対効果が上昇する傾向にあるため、運営開始時期に適切な規模を判断する。 なお、愛知県重点研究プロジェクトP3G3S3との連携が取れず、各種遅れと研究実施速度の低下が懸念されることから、1年程度の延長も想定しつつ予算分配を進める。25年度半期を目処に、状況を判断する。
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Research Products
(1 results)