2012 Fiscal Year Research-status Report
災害復旧支援のためのバルーンを利用したアドホックネットワークと位置推定
Project/Area Number |
24700064
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴田 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40335477)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 無線アドホックネットワーク |
Research Abstract |
被災地における無線ネットワーク環境を素早く構築するシステムを目指し,ネットワークノードの配置場所を決定するアルゴリズムを構築した.無線ネットワークノードを風船に取り付けて建物周囲の空中に配置することで,建物全体をカバーできる無線ネットワークを構築できることを確認した.提案するアルゴリズムでは,このような配置の仕方を行う無線ネットワークノードの配置場所を求める.また本研究では,無線電波が屋外から屋内へ伝搬する際の電波強度の減衰を求めるモデルについても,独自の電波減衰予測モデルを提案した.本論文で取り組む問題は三次元配置問題であり提案する手法では,カバレッジの保証(対象空間のうち一定の割合以上の空間をカバーすること) を満たしつつ,必要なネットワークノード数を最小化することを目指す.本論文では,この問題を解決する手法として遺伝的アルゴリズムに基づくアルゴリズムを提案した.提案手法を評価するために,3 つのベンチマーク手法と比較を行った.その結果,提案手法がネットワークノード数が他手法と比べて最も少なくなる配置パターンを生成できることを確認した.研究においては,関連研究のサーベイおよび問題の定式化を行った.また,少数のバルーンを使用した予備実験を行った.予備実験では,バルーンを大学のグラウンドにおいて浮かべ,風の影響を調べた.直径90cm のゴム風船にヘリウムガスを充填し,地上から3点で固定し,風によるバルーンの位置の変化を測定したところ,高度20m程度までは,風の影響はほとんどないことが分かった.また,無線ノードとして市販の無線LANアクセスポイントを使用し,研究棟の窓から吊るし,屋内での電波強度の測定を行った.また,一連の様子のビデオ撮影を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無線ネットワークノードを風船に取り付けて建物周囲の空中に配置することで,建物全体をカバーできる無線ネットワークを構築するための,ネットワークノードの配置場所を決定するアルゴリズムを構築した.これは,ノードの三次元配置問題であり,提案する手法では,カバレッジの保証(対象空間のうち一定の割合以上の空間をカバーすること) を満たしつつ,必要なネットワークノード数を最小化することを目的関数として,ノードの配置を最適化する遺伝的アルゴリズムに基づくアルゴリズムを提案した.また,無線電波が屋外から屋内へ伝搬する際の電波強度の減衰を求めるモデルについても,独自の電波減衰予測モデルを提案した.このために,無線ノードとして市販の無線LANアクセスポイントを使用し,研究棟の窓から吊るし,屋内での電波強度の測定を行った.評価のために,3 つのベンチマーク手法と比較を行った.その結果,提案手法がネットワークノード数が他手法と比べて最も少なくなる配置パターンを生成できることを確認した.また,少数のバルーンを使用した予備実験を行った.予備実験では,バルーンを大学のグラウンドにおいて浮かべ,風の影響を調べた.直径90cm のゴム風船にヘリウムガスを充填し,地上から3点で固定し,風によるバルーンの位置の変化を測定したところ,高度20m程度までは,風の影響はほとんどないことが分かった.また,また,一連の様子のビデオ撮影を行った. ここまでの研究結果は,論文としてまとめ,DICOMO2012シンポジウムにて発表を行った.また,国際会議への投稿を目指し,準備しているところである.
|
Strategy for Future Research Activity |
複数の予備実験により得られた知見を元に,バルーンの配置を最適化するアルゴリズムを考案し,実際に研究棟の周囲にバルーンを浮かべて提案手法の有効性の検証を行っていく.また,状況に応じて自動的に再配置を行う仕組みについて研究を開始する.初年度では使用する巻き取り器は,手動であるが,次年度以降はこの制御をLEGO Mindstorms により自動的に行う.LEGO Mindstorms は,モーターを備えたプログラムが組み込めるブロック,センサー,ギアや車軸と言ったレゴテクニックの部品の組み合わせであり,セットに含まれるステッピングモータはPC からUSB 経由で自由に制御可能であり,レゴブロックにより容易にギアなどを組み合わせて様々なデバイスを作ることが可能である.申請者は,過去の研究でMindstorms を扱ったことがあり,本研究では,地上に配置したPC上で制御プログラムを走らせ,Mindstorms のモーターを制御する.この目的を実現するにおいて,バルーンの位置を変化させる範囲や,バルーンの移動速度を考慮する必要があり,それに伴い,各巻き取り器を置く位置についても最適化を行う必要がある.研究の一つ目のパートと同じように,予備実験と問題の定式化・最適化アルゴリズムの考案を並行して行い,3年目以降に研究棟の周りで実験を行う.結果をまとめ,国際会議および国内論文誌での発表を予定している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の申請時には,ヘリウムガスのボンベをレンタルして実験などを行うことを想定して費用を計算したが,研究を開始してから,他の研究室からボンベを借りることができることが分かり,その分の費用が不要になったことが,未使用額が生じた主な要因である. 上記のように,今後はバルーンを状況に応じて自動的に再配置を行う仕組みについて研究を開始する.この制御をLEGO Mindstorms により自動的に行う.LEGO Mindstorms は,モーターを備えたプログラムが組み込めるブロック,センサー,ギアや車軸と言ったレゴテクニックの部品の組み合わせであり,セットに含まれるステッピングモータはPC からUSB 経由で自由に制御可能であり,レゴブロックにより容易にギアなどを組み合わせて様々なデバイスを作ることが可能である.次年度以降,このような研究に必要なデバイスを順次購入する予定である.また,これまでの研究成果を発表するために国際会議に投稿準備中であり,採録になった場合は,発表のための渡航費用などが発生する見込みである.また,他大学との共同研究も予定しており,研究打ち合わせのための旅費や,国内研究会及び和文論文誌での発表のための経費も必要になると考えられる.
|
Research Products
(2 results)