2013 Fiscal Year Research-status Report
災害復旧支援のためのバルーンを利用したアドホックネットワークと位置推定
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24700064
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴田 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (40335477)
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Keywords | 無線アドホックネットワーク / 避難誘導支援 / 位置推定 |
Research Abstract |
被災地における無線ネットワーク環境を素早く構築するシステムを目指し,ネットワークノードの配置場所を決定する手法を考案・実装し,評価を行った.結果をまとめ,国際会議および国内論文誌に投稿し,下記の通り採録された. - Shinya Matsuo, Weihua Sun, Naoki Shibata, Tomoya Kitani and Minoru Ito : "BalloonNet: A Deploying Method for a Three-Dimensional Wireless Network Surrounding a Building," in Proc. of the Eighth International Conference on Broadband and Wireless Computing, Communication and Applications (BWCCA-2013) (28% acceptance ratio), DOI:10.1109/BWCCA.2013.28 - 松尾 真也, 孫 為華, 柴田 直樹, 木谷 友哉, 伊藤 実 : BalloonNet:無線ネットワークノードを用いた建物包囲型三次元配置手法, 情報処理学会論文誌(採録決定) また,この研究に引き続き,災害時の避難誘導に関する研究を開始した.上記の研究では,被災した建物の内側で無線によるネットワーク接続および位置推定を利用可能にすることにより,救助活動の支援を行うことを目的とするものであったが,そのような支援の下実際に救助活動を行うための方法を考案することが新たな課題である.現在関連論文のサーベイを行っており,火災時に既存の避難誘導灯があまり役に立っていないという先行研究に対し,これを解決するための手法を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の通り,当初予定していた研究内容については,研究を概ね完了し,国際会議および国内論文誌に投稿し,採録されている.論文の内容的にも,当初予定した内容が概ね含まれており,論文のレビューの結果も良好であるため,研究は計画以上に進展していると考えてよいだろう.現在,研究の目的である災害時の救助活動支援のための新たな研究を開始するため,準備を行っている.本研究によって今までに得られた知見をもとに,提供されるネットワーク接続および位置推定を有効に活用し,一般の人にも分かりやすい避難誘導を行うための方式の実現のため検討を行っている.この新しい研究の途中結果は,2014年7月開催のマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウムで発表する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,災害等の発生時において,位置推定などが可能である場合に,避難誘導を行う手法について検討を行っている.災害等の発生時に大規模な建物や地下街が停電した場合,避難者は唯一の目印である避難誘導灯を用いて避難することになる.しかし先行研究によると,避難誘導灯を利用して避難する人は約2割であることや,避難誘導灯の標識の意味を理解している人は約1割であること,また高齢者が逃げ遅れる傾向にあることがわかっている.このように避難誘導灯は,避難する際に唯一の目印となるにもかかわらず,避難誘導としての役割を果たしていない.この問題に対して,視覚的にわかりやすい光を用いて,避難出口に最も近い方向(最短出口方向)に誘導する方式によって解決する.具体的には,避難者のスマートフォンでMobile Adhoc Networkを構築し,各々のスマートフォンのバックライトの光を協調動作させ,最短出口方向に光の帯が流れるように制御することで避難誘導する.避難者の目線による3D動画を用いたシミュレーションを行っており,避難者の目線から十分な明るさの光の帯が避難方向に流れるように見えることを確認している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の申請時には,ヘリウムガスのボンベをレンタルして実験などを行うことを想定して費用を計算したが,研究を開始してから,他の研究室からボンベを借りることができることが分かり,その分の費用が不要になったことが,未使用額が生じた主な要因である. モバイルアドホックネットワークの実機実験のため多数のノードを購入する必要があり,またそのような評価を行わないと国際会議に採択されにくくなっているため,ノードの購入費用に主に充てる予定である.また,他大学との共同研究も行っており,研究打ち合わせのための旅費や,国内研究会及び和文論文誌での発表のための経費も必要になると考えられる.
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