2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模ネットワークにおけるミクロとマクロの相互作用理解に基づいた制御設計法
Project/Area Number |
24700072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
作元 雄輔 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (30598785)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ネットワーク制御 / 通信工学 / 制御設計 / 統計力学 |
Research Abstract |
大規模・複雑なネットワークにおいて効率的な制御を行うためには,ミクロの挙動とマクロの挙動の相互作用を結びつけることが重要である.統計力学は我々が存在しているこの世界におけるミクロレベルでの膨大な数の粒子の挙動とマクロレベルでの熱力学的性質を結びつけることに成功している.そのため,統計力学で行われている議論はネットワークにおけるミクロとマクロの挙動を結びつける上で役立つと考えられる.平成24年度は統計力学の議論に基づきミクロな挙動とマクロな挙動の相互作用を記述する数学的モデルの構築を行った.具体的には,統計力学における各粒子の確率的な取扱いを踏まえて,ミクロレベルの各要素が行う相互作用を確率的な振舞いとして取扱い,ミクロとマクロの相互作用((1) ネットワーク内でのミクロレベルである各要素が行うネットワーク制御がマクロレベルでのネットワーク全体の挙動に与える作用,および,(2)ネットワーク全体に影響が及ぶ制御設定がミクロな挙動に与える作用) を定式化した.これによれば,ミクロレベルのネットワーク制御によりマクロな大域的指標がある分布に従うことが導け,また,大域的指標が従う分布の母数の変化がミクロレベルのネットワーク制御に与える影響を理解することができる.この数学的モデルから得た理解に基づき,データセンターネットワークを例にとったシミュレーション実験により構築した数学的モデルの妥当性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき,平成24年度の達成目標である数学的モデルの定式化と妥当性の検証が完了しており,おおむね研究の目的は計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成24年度に構築した数学的モデルを用いて階層的な制御設計法の枠組みを整備する.構築した数学的モデルではミクロなネットワーク制御とネットワーク全体のマクロな挙動の相互作用を記述する.この数学的モデルに基づ き,ミクロなネットワーク制御からネットワーク全体のマクロな挙動を制御するともに,マクロな操作からミクロな挙動を制御する枠組みをまとめる.当初の研究計画ではトラヒック制御だけに特化していたが,ネットワーク制御全般に応用できるような汎用的な制御設計法の確立を目指す.また,構築した制御設計法の有効性を確かめるために,実ネットワーク制御を設計し,シミュレーション実験により設計したネットワーク制御の性能を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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