2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模ネットワークにおけるミクロとマクロの相互作用理解に基づいた制御設計法
Project/Area Number |
24700072
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
作元 雄輔 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (30598785)
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Keywords | 通信工学 / 制御設計 / 統計力学 / ネットワーク制御 |
Research Abstract |
前年度は,大規模・複雑なネットワークにおいて効率的な制御を行うために,統計力学の議論に基づいて,ミクロな挙動とマクロな挙動の相互作用を記述できる数学的モデルの構築を行った.この数学的モデルにおいては,ミクロレベルでの各要素が行う相互作用によって,マクロレベルにおける大域的指標の母数を変化することができる.一方で,大域的指標の母数の変化に合わせて,ミクロレベルの各要素が行う相互作用を変更することができる.このような性質を用いれば,ミクロレベルとマクロレベルで階層的な制御を行うことができ,これによって,大規模・複雑ネットワーク全体の効率的な制御が実現できると考えられる.平成25年度は,この仮説を実証するために,構築した数学的モデルによる制御設計法の枠組みの整備と有効性の検証を行った.まず,構築した数学的モデルを用いてデータセンターネットワークにおける仮想資源配置制御(トラヒック制御と負荷分散制御のトレードオフを考慮して仮想資源を物理資源に配置する制御)を設計した.この制御では,仮想資源自体が適切な物理資源を自律的に選択するだけで,マクロな性能指標(トラヒックと負荷分散のトレードオフを表す指標) の確率分布をうまく制御することができる.また,環境変動によって確率分布の母数が変化した時に,仮想資源が自発的に適応できるような制御も設計した.また,これらの設計内容が有効であることを示すために,シミュレーション実験を行った.これらの実験では,実際のデータセンターネットワークにおけるトラヒック変動を踏まえてシミュレーションを行った.シミュレーション実験の結果,現実にあるトラヒック変動下においてはおおむね狙い通りの動作を行うことが示せた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき,平成25年度の達成目標の一部である数学的モデルの制御設計法の枠組みの整備と有効性の検証が完了しており,おおむね研究の目的は計画通りに進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,平成25年度に構築した階層型の実ネットワーク制御を用いて,既存の制御方式と比較した場合に,どの程度効率的に動作するのかを明らかにする.また,提案する数学的モデルが他の実ネットワーク制御に応用できることを示すとともに,数学的モデルの限界を理論的に明らかにすることを予定している.
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