2012 Fiscal Year Research-status Report
自律分散クラスタリングに基づく異種モバイルアドホックネットワーク間相互接続技術
Project/Area Number |
24700073
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
大田 知行 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90347617)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | モバイルアドホックネットワーク / ルーティング / クラスタリング / 異種性 |
Research Abstract |
モバイルアドホックネットワーク(MANET)において,異なるルーティングプロトコルを採用するネットワークが混在する環境(異種MANET環境) では,お互いに通信することはできない.そこで,異種ネットワーク間の通信を仲介するルーティングプロトコルとしてATR(Ad hoc Traversal Routing) を提案してきた.異種ネットワーク間でATR を動作させるネットワークゲートウェイ(NwGW)ノード がお互いに隣接することで,異種ネットワーク間での通信が可能となる.MANETでは,ノードが常に移動しているため,NwGWノードを固定することができず,ノードの移動によるトポロジ変化に対して,適応的にNwGWノードを選択する必要がある.そこで,動的にNwGWノード を選択するために,自律分散クラスタリングを用いたネットワークゲートウェイ動的選択手法の提案を行い,異種MANET環境におけるネットワーク間の通信が可能となることを確認し,NwGW間の接続時間やオーバヘッド,データパケット到達率の観点から,シミュレーション実験により提案法の有効性の評価を行った. さらに,提案した自律分散クラスタリングを用いたネットワークゲートウェイ動的選択手法に用いることにより,異種MANET間でのモバイルエージェントを用いたノード情報の収集配信機構の開発を行った.本機構により,異種MANETにおいてノードが持つサービス情報をネットワーク内の他のノードに対して配信することが可能となる.シミュレーション実験により,短時間でノードの持つサービス情報を異なるネットワークのノードに対して配信できていることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,(1)異種モバイルアドホックネットワーク間の相互接続を実現するために,自律分散クラスタリング技術を導入したモバイルアドホックネットワーク向けネットワークアーキテクチャの設計,(2)異種モバイルアドホックネットワーク間でのモバイルエージェントを用いたノード情報の収集配信機構の開発に関する研究を行ってきた. (1)については,トポロジの変化に適応したNwGWノードを選択するために,自律分散クラスタリングを用いたネットワークゲートウェイ動的選択手法を提案し,シミュレーション実験により,各ネットワークで選択すべきNwGWの数に対するオーバヘッドや接続時間の評価を行った.提案法では,各ネットワークを複数のクラスタに分割し,クラスタ単位で指定した数のNwGWノードを選択している.実験結果から,ネットワーク内のノード密度や存在するネットワーク数に関係なく,指定した数のNwGWを選択していることを確認できた.また,異種ネットワーク間で通信を行うためには,NwGWがお互いに隣接している必要がある.提案法では,ネットワークごとに自律適応的にNwGWの選択を行っているが,隣接する異種ネットワークとの間でNwGWのペアが作れずに,繰り返しNwGWの選択が発生するような問題が起きることはなく,トポロジの変化に対してNwGWを選択できていることを確認できた. (2)については,提案した収集配信機構により,あるネットワーク内のノードが持つサービス情報が,他のネットワーク内のノードに普及するまでの時間を短縮することができた.シミュレーション実験の結果から,サービス情報を収集配信するモバイルエージェントが,ネットワーク内に存在するNwGWを利用して,異種ネットワークへ移動することができており,結果として,従来法と比べ,短時間での情報配信ができていることを確認できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度において提案した(1)自律分散クラスタリング技術を導入したモバイルアドホックネットワーク向けネットワークアーキテクチャと(2)モバイルエージェントを用いたノード情報の収集配信機構に対し,ネットワーク中のノード数や送信元ノードにより送信されるトラフィック量,ノードモビリティモデルの違いなど,様々なネットワークシナリオを想定することにより,ネットワーク環境に適したゲートウェイ数を検討する必要がある. (1)については,これまでのシミュレーション実験では,ランダムウエイポイントモデルと呼ばれる一つのモビリティモデルにおける実験による評価であり,提案法の有効性の範囲が非常に限定されている.実際には,車車間ネットワークのような道路上に沿ってノードが移動するモデルやグループ単位でノードが移動するモデルなど,様々なモビリティモデルが存在する.各ネットワークにおいて,ルーティングプロトコルの違いだけでなく,モビリティモデルが違う状況における実験を行うことにより,提案法の有効性を評価していく. (2)については,シミュレーション実験の結果から,サービス情報を収集配信するモバイルエージェントが,ネットワーク内に存在するNwGWの位置や数を効果的に利用できていることを十分に示すことができていない.モバイルエージェントの発生間隔や個数と,NwGWの位置や数との関連性を示すために,追加実験を行っていく. さらに,異種ワイヤレスマルチホップ環境下においての有効性を確認するために,シミュレーション実験により,異種ワイヤレスマルチホップ環境下での検討を行う.車車間ネットワークやメッシュネットワーク等の他のワイヤレスマルチホップネットワークが混在した環境では,ルーティングプロトコルの違いだけでなく,ノードモビリティの違いについて考慮しながら提案法の開発を行っていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ネットワークシミュレータに提案するプロトコルを実装するためのプログラミング環境と,実装したプロトコルをシミュレーションするためのワークステーションを一式購入することにより,数多くのシミュレーション実験を実施し,評価結果を得る.さらに,国際会議や国内研究会において,研究発表を行うための旅費や参加費のために,研究費を使用する.
|
Research Products
(10 results)