2013 Fiscal Year Research-status Report
自律分散クラスタリングに基づく異種モバイルアドホックネットワーク間相互接続技術
Project/Area Number |
24700073
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
大田 知行 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90347617)
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Keywords | モバイルアドホックネットワーク / ルーティング / クラスタリング / 異種性 |
Research Abstract |
モバイルアドホックネットワーク(MANET) では多くのルーティングプロトコルが提案されており,利用用途に応じて適切なルーティングプロトコルは異なる.また,異なるルーティングプロトコルを採用したネットワーク(異種ネットワーク)が混在する環境(異種MANET 環境)では,ネットワークはお互いに通信できない.そこで,異種ネットワーク間の通信を可能とするルーティングプロトコルとしてATR がある.異種ネットワーク間では,ATR を動作させるネットワークゲートウェイノードがお互いに隣接することで,通信が可能となる.しかし,MANET ではノードの移動により,ネットワークトポロジが変化するため,動的にネットワークゲートウェイを選択する必要がある.そこで,自律分散クラスタリングを用いて動的にネットワークゲートウェイを選択する手法を提案してきた.自律分散クラスタリングによりネットワークを複数のクラスタヘッドとメンバから構成されるクラスタに分割することにより,効率的にノードを管理している.今年度は,前年度までに検討したネットワークゲートウェイ選択手法に基づいた異種MANET間ルーティングの提案と評価を行った.異種MANET間ルーティングでは,異種ネットワーク間通信中に経路が切断された場合,クラスタヘッドやネットワークゲートウェイによる経路修復手法を提案し,経路切断に適応することで,制御パケット量の低減,データパケット到達率の向上を目指した.また,提案法の有効性を評価するために,歩行者,車両のそれぞれで構成されるネットワークが混在する環境を想定し,シミュレーション実験を行った.各ネットワークでは,歩行者や車両の特徴に合わせて,異なる移動モデルとルーティングプロトコルを用いて評価をすることにより,ルーティングプロトコルの組み合わせにより,提案法の性能が変化することを確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モバイルアドホックネットワーク(MANET)向けのルーティングプロトコルは,主にリアクティブ型とプロアクティブ型の二種類に分けられる.異種MANET環境において,ネットワーク間通信を行うためには,各ネットワークが使用しているルーティングプロトコルの型に応じて,経路構築や経路修復の手法を変更する必要がある.現在までに,異種MANET環境下におけるネットワークが使用しているルーティングプロトコルがリアクティブ型の場合は,ネットワーク間のネットワークゲートウェイに加え,隣接ネットワークのクラスタヘッドが経路構築を行う手法を提案し,プロアクティブ型の場合は,ノードを管理する自律分散クラスタリングで用いる制御パケットに情報を付加する手法を提案することにより,異種MANET間ルーティングを実現し,ネットワーク間通信において,データパケットの到達率を下げることなく,ネットワーク性能を維持することができている.また,シミュレーション実験において,車車間ネットワークと歩行者ネットワーク間での異種MANET環境を実現することにより,提案法の性能を評価し,各ネットワークが使用するルーティングプロトコルが性能に与える影響について知見を得ることができた.これらを含めて,雑誌論文5件(内国際会議4件)の研究成果を公表している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに提案してきた異種MANET間ルーティングにより,異種ネットワーク間通信を実現し,提案法の性能を評価することができている.しかしながら,ノード数やトラフィック量などが変化した場合のシミュレーション実験による評価が十分にできておらず,ネットワーク環境や状況に適した各ネットワークにおけるネットワークゲートウェイ数の検討や自律適応的なネットワークゲートウェイ数の変更手法が確立できていない.ネットワークゲートウェイの数や位置などは,異種MANET間ルーティングの性能に大きな影響を与えるため,ノード数やトラフィック量の変化に応じてネットワークゲートウェイの数を自律適応的に変更するための手法について,さらに検討を行い,シミュレーション実験により,有効性の評価を行う必要がある.また,シミュレーション実験だけではなく,理論的解析による評価についても行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は,国内で開催された国際会議において発表をしたため,国際会議のために計画していた旅費と比較して必要とした金額が少なくなったためである. 国際会議や国内研究会において,研究成果の発表を行うための旅費や参加費のために,研究費を使用する計画である.
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Research Products
(20 results)