2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
萬代 雅希 上智大学, 理工学部, 准教授 (90377713)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モバイルネットワーク / メディアアクセス制御 / ルーティング / 全二重無線通信 |
Research Abstract |
本研究は,無線ネットワークの高度化を図るために,無線端末で同一周波数で送受信を同時に行うことを可能にする全二重無線通信のための新しいネットワークアーキテクチャを提案することが目的である.平成24年度は,全二重無線ネットワークアーキテクチャを提案し,基礎評価を行った.具体的には,下記の二つのテーマに取り組んだ. 1)指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのノードアーキテクチャおよび通信プロトコル:指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのノードアーキテクチャを提案した.提案手法は,マルチホップ環境で中継端末は全二重無線を適用でき,同時にデータ送受信できる.同一フローが経路上をマルチホップしていく際に,経路上の端末の送信タイミングをスケジューリングする手法を提案した. 2)MIMO全二重無線通信のためのノードアーキテクチャおよび通信プロトコル:信号処理により同一周波数帯で複数のデータ送信を可能にするMIMO送信と全二重無線通信を相補的に実現するMIMO全二重無線通信のためのノードアーキテクチャを提案した.提案ノートアーキテクチャは,既存の全二重無線通信のためのアンテナおよび送受信機を複数有し,MIMO通信を実現するためにアンテナ間の干渉を除去するバランによる自己干渉除去機構を付加することで,MIMO全二重無線通信を実現する.さらに,この提案ノードアーキテクチャを無線LAN環境で用いるためのメディアアクセス制御(MAC)プロトコルを提案した.提案MACプロトコルは,MIMO全二重通信の適用機会を増やすことが狙いであり,既存の1対1通信に加えて,1対多通信および多対1通信を許容することで無線LAN環境でのスループット性能の向上を目指すものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,全二重無線ネットワークアーキテクチャを提案し,基礎評価を行った.ネットワークシミュレータns-3上に提案手法を実装し,基礎的な性能評価を行った. 指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのノードアーキテクチャおよび通信プロトコルに関しては,マルチホップ環境を想定した評価を行い,通信ホップ数の増加に対して,スループット性能の劣化がほとんどないことを確認した.具体的には,7ホップのネットワークにおいて,従来の半二重無指向性のノード構成に対して,117%のスループット性能の改善効果が得られることが分かった. MIMO全二重無線通信のためのノードアーキテクチャおよびMACプロトコルは,既存のMIMO全二重通信のためのノードアーキテクチャと比較して,アンテナ本数を1/4に低減可能であり,携帯端末への実装が容易であるとの特徴を有する.一般的な無線LAN環境を想定し,ネットワークの中央にAPを1台,その周囲に無線端末を複数台配置し,上りおよび下りリンクのスループット性能を評価した.その結果,提案手法は既存のMIMO全二重無線通信の適用機会を考慮しないMACプロトコルと比較して,最大91パーセントの下りスループット改善が図れることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,マルチホップネットワークにおいてMACプロトコル,ルーチングが連携することで,時間・周波数的に無駄な制御情報の送受信を削減し,端末の全二重通信が適用されるクロスレイヤプロトコルを構築し,ネットワーク性能を最大限に引き出すことを目標とする.具体的には,各端末がデータを(バケツリレー式に)中継するマルチホップ環境の全二重無線ネットワークアーキテクチャを提案する.特に,MACおよびルーチングを中心に開発する. また,現状では,ネットワークシミュレータのみでの性能評価だが,今後はそれに加えて,提案する全二重指向性通信のためのノード構成をソフトウェア無線テストベッド上の実装についても検討を開始する.当初,ソフトウェア無線テストベッドとして,USRP2を予定していたが,パケットのヘッダ処理がリアルタイムでできないという速度の問題があることが分かったため,プラットフォームをWARP v3に変更することにした.全二重指向性ノードの実装の報告はなされておらず,非常にチャレンジングな課題だが,各種専門家とディスカッションしながら,研究を遂行する.実装実験により提案手法の実現可能性および性能を評価することを予定している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)