2013 Fiscal Year Research-status Report
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24700074
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
萬代 雅希 上智大学, 理工学部, 准教授 (90377713)
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Keywords | モバイルネットワーク / メディアアクセス制御 / ルーティング / 全二重無線通信 |
Research Abstract |
本研究は,無線ネットワークの高度化を図るために,無線端末で同一周波数帯で送受信を同時に行うことを可能にする全二重無線通信のための新しいネットワークアーキテクチャを提案することが目的である.最終的には,マルチホップネットワークにおいてメディアアクセス制御(MAC)プロトコル,ルーチングが連携することで,時間・周波数的に無駄な制御情報の送受信を削減し,端末の全二重通信が適用されるクロスレイヤプロトコルを構築し,ネットワーク性能を最大限に引き出すことを目標とする. 平成25年度は,各端末がデータを(バケツリレー式に)中継するマルチホップ環境の全二重無線ネットワークアーキテクチャを提案することを目標とし,特にマルチホップ環境での経路制御(ルーティング)およびMACプロトコルに重点をおいて検討を進め,計算機シミュレーションで提案方式の評価を行った.具体的には,指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのルーティングプロトコルのテーマに取り組んだ.全二重無線通信に特定の方向のみ大きなアンテナゲインをもつ指向性アンテナを用いることで,通信相手以外との干渉を減らすことができる. また,このノードアーキテクチャの特徴は単一トラフィックフローの場合,送信元ノードと宛先ノード間のホップ数が増加してもスループットの減少が小さい点である.しかし,複数のトラフィックフローが存在する場合,隠れ端末問題により,スループットの性能が劣化する.そこで,マルチホップネットワークにおける指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのルーティングプロトコルを提案した.提案方式は,トラフィックフローが交わらないように迂回させて経路を構築することで隠れ端末問題を低減し,スループットの向上を図るものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,指向性全二重無線のためのMACプロトコルおよびルーティングプロトコルを提案した.今年度考案した提案ルーティングプロトコルは,送受信ノード間でルート構築を行う際の制御情報のやりとりにおいて,自身が送受信を行っているフロー数により優先順位付けを行うことで,近隣のトラフィックフロー同士が交差しないようなルート構築を行う手法である.ネットワークシミュレータns-3上に提案手法を実装し,中規模なネットワークでの性能評価を行った.指向性アンテナを用いた全二重無線通信のためのノードアーキテクチャおよびルーティングプロトコルに関して,5ノード×7ノードの合計35ノードを格子状に配置したグリッドトポロジにおいて,トラフィックフローが2本あるマルチホップ環境を想定した評価を行い,既存のルーティングプロトコルを指向性全二重無線通信に適用する場合と比較して,提案方式は,最大で84.6パーセントのネットワークスループット性能の改善効果が得られることを明らかにした.一方で,課題として,送受信ノード間の平均中継ノード数および平均ルートセットアップ遅延(送信要求が発生してから実際の通信を始めるまでの遅延時間)は大きくなることを定量的に明らかにした. さらに,ネットワークシミュレータでの性能評価に加えて,各種プロトコルをソフトウェア無線テストベッドWARP v3上に実装する準備に取り組み,IEEE 802.11の基本的なプロトコルがテストベッド上で正しく動作する確認を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,最終目標であるマルチホップネットワークにおいてMACプロトコルおよびルーチングが連携することで,時間・周波数的に無駄な制御情報の送受信を削減し,全二重通信の適用機会を増加させるクロスレイヤプロトコルを構築し,ネットワーク性能を最大限に引き出すことを目標とした研究開発を行う.具体的には,マルチホップ環境における全二重無線通信への指向性通信の適用の継続的検討,CSMA等のランダムアクセス方式に加えてTDMAのようにあらかじめ送信タイミングをスケジュールする手法も含めたMACプロトコルおよびリソースマネージメント手法の検討,複数の送信レートを適応的に変更するレートアダプテーションへの対応を中心に開発する. さらに,各種提案プロトコルをソフトウェア無線テストベッド上への実装に取り組む予定である.これまでに指向性全二重無線通信の実装に関する報告はなされておらず,非常にチャレンジングな課題だが,各種専門家とディスカッションしながら研究を遂行する.実装は部分的なものに限定される可能性もあるが,実験により提案手法の実現可能性および基本性能を評価することを予定している.
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Research Products
(3 results)