2012 Fiscal Year Research-status Report
「個」と「群衆」へ最適なマルチメディアコンテンツを同時提示する大型ディスプレイ
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24700092
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浦西 友樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00533738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マルチメディア / デジタルサイネージ / インタラクション |
Research Abstract |
平成24年度においては,下記の通り研究を遂行した.まず,大型ディスプレイ前に存在する複数のユーザの位置を計測した.ディスプレイから遠い位置に存在するユーザは,ディスプレイ前を通過しているのみで,ディスプレイに注目していないユーザも含まれる.それらはコンテンツを提示する対象ではあるが,上記の視野推定においてそれらを考慮する必要はないと考えられる.そこで提案システムでは,それぞれのユーザをOperator(ディスプレイに近く,インタラクティブなコンテンツの提供を望んでいる),Viewer(ディスプレイから遠く,広告コンテンツに興味を示す),Passer(ディスプレイから遠く,コンテンツに興味を示さない)の3つの状態に分類した.まず,ディスプレイの近くに存在するユーザは,インタラクティブなコンテンツに興味を持っていると仮定し,Operatorに分類した.次に「群衆」に属するユーザに対しては,ディスプレイ上部に取り付けたカメラから正面顔認識を試み,ユーザがディスプレイに対し正面を向いているか判定することで,さらにViewerとPasserに分類した. このように得られたOperatorとViewerの視野をそれぞれ推定し,さらにOperatorの身体による隠蔽を考慮することで,ディスプレイにおいてViewerから見える部分と見えない部分を推定した.この推定結果に応じ,Viewerから見えない部分にOperatorに向けてのコンテンツを表示することで,インタラクティブなコンテンツが広告コンテンツを妨げることなく提供することが可能となった.また,提案手法の有効性を実験により確認するとともに,コンセプトデモを実装した. これとは別に,大型ディスプレイ環境のユーザビリティ向上のため,コンテンツ提示手法に関する手法についても検討し,国内学会にて1件発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた平成24年度の研究計画に従い,研究計画を当初の予定通り実現した. ただし,研究代表者の研究期間中での異動に伴い,当初予定していた機材の継続的使用が困難となった.このため,次年度以降の研究計画については,物品の新規購入および共同研究先への出張という形で対応する必要があると考えられ,研究計画の見直しを図る必要がある.また同様に,研究費の使用計画についても,新たにタッチパネル型ディスプレイを購入するなど,計画を再検討したうえで当初の研究目的を実現すべく研究を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,「群衆」に提示する広告コンテンツの最適化を目指し,研究を遂行する.まず,大型ディスプレイにおいて提示可能な広告コンテンツから,自動的に現在の「群衆」に最適なコンテンツを選択する手法を導入する.「群衆」に属するユーザの嗜好を収集するために,近年ユーザへの普及が進んでいるスマートフォンなどの携帯情報端末との連携を想定している.たとえば,特定のアプリケーションをインストールしているユーザが多く「群衆」に存在する場合には関連する広告を提供し,特定の店舗の電子クーポンを所持しているユーザが多く「群衆」に存在する場合には,店舗への案内を表示するといった方法が考えられる.また,広告コンテンツに興味を持っているか否かは,先に示したユーザ状態の分類手法により推定可能である.ゆえに,Viewerに最適化したコンテンツを提示するか,「群衆」全体に最適なコンテンツを提示するかについても,コンテンツの種類に応じて切り替えることができる. 次に,インタラクティブなコンテンツを操作している「個」によるオクルージョンを考慮した広告コンテンツの提示について検討する.「個」に対しインタラクティブなコンテンツを提供する場合,タッチパネルを使用している「個」の身体により広告コンテンツが隠蔽され,広告内で重要な情報が「群衆」から見えない状況が生じると考えられる.そこで,ディスプレイにおいて「群衆」から見えている場所と見えていない場所が推定されていることを利用し,「群衆」向けに重要なコンテンツは常に「群衆」から見えるように配置することで,広告効果の向上を図る.また,これらのコンテンツは狭指向性スピーカを導入し,音声を含むマルチメディアコンテンツとして提供することを目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度途中より,当初計画においては現有の設備を利用する予定であった200型級大型ディスプレイの日常的な利用が困難となった.予算の見直しおよび購入機種選定が遅れ,平成24年度の研究費に未使用額が生じたが,平成25年度にタッチパネル式の大型ディスプレイを購入し,研究を実施する予定である.また,ユーザの位置を計測するための距離画像センサ,「群衆」の情報を収集するためのスマートフォン,「群衆」に音声情報を提示するためのスピーカ,およびデモンストレーション用のノートPCを購入することを検討している. 本研究においては,評価実験のために大学院学生および大学生10 名程度の協力を要請する予定であり,実験内容に応じて謝金の支払いを予定している.また,研究成果の発表に関して,学会発表のための旅費・学会参加費(Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR2013) への参加および情報収集,International Symposium on Mixed and Augmented Reality (ISMAR2013) への研究成果の投稿),および論文投稿のための費用として研究費を使用することを計画している.
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Research Products
(25 results)