2012 Fiscal Year Research-status Report
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24700108
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
木村 充位 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 准教授 (20352825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | データベース / 信頼性理論 / 確率 |
Research Abstract |
近年,災害等によるデータ損失へ対応し,レプリケーションと呼ばれるネットワークを介して遠隔地(リモートサイト)にバックアップデータを保存する手法が運用されている.本研究では,さまざまなレプリケーション方式(大和純一ら[2004],菅真樹ら[2005])について,マルコフ再生過程を用いた確率モデル(Osaki[1992])により解析的に分析し,さらに被災による復旧動作やレプリケーションによるさまざまなコスト変動を解析的に考察してデータベースのバックアップに関する管理・運営について最適方策を提案することを目的としている.平成24年度では,ログファイルとデータベースファイルのハイブリッドで一貫性の取れたデータベースの状態に回復できるハイブリッド転送方式について,データベースのバックアップすなわちレプリケーションの平均回数やログファイルの平均転送回数を解析的に導出し,これらの挙動に伴う総合コストを最小にする最適なレプリケーション間隔について議論した.さらに,メインサイトとリモートサイトの間に配置した中継装置のバッファにデータを格納することにより,応答時間の短縮と通信負荷の平滑化ができる中継バッファ方式について,中継装置のバッファにアクセスするコスト等を考慮した総合的コストを最小にする最適なレプリケーション間隔について議論した.このような議論について,先行研究では被災により失われるクライアントの更新データの損失コストやレプリケーションを実行することによるコストの変動を解析的に考察しているものはなく,被災によるサーバのダウンは不確定的に発生するため,サーバのダウンに伴うシステムの挙動に確率過程を仮定してレプリケーション方式を評価するモデルは重要であり,意義あるものと考え論文としてまとめた.実際にこれらの成果は国際会議や国際的な学会論文誌に認められ,公表してきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,ネットワークを介してリモートサイトにバックアップデータを保存する手法であるレプリケーションについて,有効とされているハイブリッド転送方式や中継バッファ方式に着目した.特にこれらの方式を適用したサーバシステムをマルコフ再生過程(Osaki[1992].)を用いて確率モデルを構築し,サーバダウンの発生やレプリケーションの時期などに関わる相互関連性を解析的に考察した.平成24年度はこれらのモデルの設定方法や解析方法について検証することを主眼として,信頼性解析の研究者らが集まる研究会などで発表を行い,議論を行った.その結果データベースの管理運営における基本モデルとして国際学会や国際的な論文誌に公表することができた.しかし,実際のデータベースシステムの管理運営における現実に近い値での数値計算を行うまでには至らなかった.さまざまな用途でデータベースの管理運営がされている中,クライアントのデータ更新要求の発生分布やそれに伴い発生するジャーナリングファイルの転送分布を調査することは困難であるが,これらの傾向を調べてモデルに反映することは可能ではないかと考えている.しかし,このモデルの汎用性に重点を置いて考え,現在提案している基本モデルをいかに現実に近いモデルに拡張するかに主眼を置いた方が研究として意義あるものではないかと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に構築した基本モデルの改良、修正点を洗い出し,理論モデルの再構築を行う.さらに様々なレプリケーション方式を適用した理論モデルの提案し,これらのモデルの比較検討を軸に研究を進める.さらに実務面からの意見を取り入れ現実に近いモデルへ近づけるため,サーバ関連など金融機関などでデータベース構築を経験した研究者らが集まる国内外の研究会(学会の全国大会など)や国際会議で発表を行い,モデルの設定方法や解析方法について知見を広めて,検証する. さらにクライアントのデータ更新要求の発生分布やそれに伴い発生するジャーナリングファイルの転送分布等のパラメータ特性が適切であるかを検討するため,最尤推定法(R.A.Fisher[1935])により最尤推定値を用いたり,適用している分布関数が適切かどうかを検討し,ワイブル分布やガンマ分布等など,より現実に近い分布関数を適用して確率モデルを再構築する等,代替案も想定する.パラメータを動かしたときのサーバシステム全体の挙動を理解するために、再度解析結果を用いてプログラミングを行い、数値計算を行ってパラメータ特性の相互関連性の調査を行う. 再検討したパラメータを元にモデルを論文としてまとめ,国際会議“19th ISSAT International Conference on Reliability and Quality in design”で発表する.さらにこれらの成果を国内外の論文誌にも公表したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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