2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24700110
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮村 浩子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究員 (20376859)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 可視化 / CG / ポイントグラフィックス |
Research Abstract |
本度は,多様化するデータをポイントベースで扱うための「ポイントベースモデリング」プログラムを開発した.この開発にあたっては,「マクロからミクロまでをポイント形式で階層型に格納する手法の確立」と「階層を参照することによる,マルチスケールデータの格納・取得手法の確立」の2つの要素技術を開発した. 「マクロからミクロまでをポイント形式で階層型に格納する手法の確立」としては,3次元モデルデータをポイントベースで保持し,対象データのスケールを階層の深さに置き換えて格納する機能を実装した.当初の予定では,原子炉モデルデータに対して,部品(ネジやパイプ等)-機器(冷却機や圧力容器等)-建物(建屋等)-原子力施設全体と階層構造化して格納する計画であった.しかし,これらのモデル情報(機器の属性情報)を今年度は利用できなくなったため,当初の予定を変更し2つのデータを用いて階層モデルを作成した.まず1つ目は,原子炉モデルを利用して,機器の属性を加味せずに階層モデル化したものを作成した.2つ目は,福島県の線量測定データ(走行サーベイデータ)を用いて,計測点の線量‐(市町村等の単位による)空間線量の階層モデル化を作成した.これらの階層モデルを格納する機能の開発を行った. 「階層を参照することによる,マルチスケールデータの格納・取得手法の確立」では,階層モデル化によって作成したデータ構造の各階層間でモデルデータの親子関係を作成し,互いに参照できるようにした.これによって,マクロなスケールでのシミュレーション結果とミクロなスケールでのシミュレーション結果の間をスムーズに移行することが達成できた. 当初予定していた原子炉モデルデータの機器等のスケールによる階層構造化は,機器の属性情報を取得でき次第着手する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
利用予定であったデータの利用が困難となったために当初の計画通りには進まなかったが,異なるデータを用いることで,開発する機能に関してはほぼ予定通りに進展した.
|
Strategy for Future Research Activity |
開発した「ポイントベースモデリング」によって格納したデータを効果的に示すために「ポイントベースレンダリング」に取り組み,「作成したデータ構造から観察者の視点に合わせたマルチスケール情報の提示手法の確立」を実現する. ポイントベースレンダリングの基本プログラムを作成するにあたっては,ポイントにサーフェルと呼ばれる円盤を配置し,そこに色やテクスチャに置き換えた物理量に代表されるシミュレーション結果の情報を乗せる.ここで,観察者の要望に応じたスケールのサーフェルを提示するために,スケールを指標とした階層型データ構造を参照する機能を開発する また,ポイントを表示する円盤であるサーフェルの透明度や大きさを調整することで,マクロからミクロまでの情報を同時に提示する手法も提案する.例えばマクロなスケールのサーフェルを半透明に,ミクロなスケールのサーフェルを不透明に提示すると,内部を透かして観察する効果が期待できる.また,マクロなスケールのサーフェルを相対的に小さくすることで,点描画の効果が得られ,視線と垂直方向の面上に配置された点群ほど密集し,輪郭線のような概要を提示する効果が期待できる.このように,視覚特性も取り入れながら,マルチスケール情報の効果的な定時手法を開発する. そして最終年度では,「ポイントベースレンダリング」を拡張し,「ポイントベースのスカラ場,ベクトル場,テンソル場の可視化手法の確立」を実現する.前年度の可視化技術で考慮したマルチスケールだけでなく,固体・流体・気体のような異なる状態の物質に対しても可視化可能なマルチフィジックス対応の可視化技術を開発する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度作成した機能を利用し,実験・検証を重ねて国内外での発表を計画している.今年度の予算はこれら成果発表を中心に計画している.まず,旅費に300,000円を計上する.また,国際会議発表に際しての英文校正等50,000円,別刷り代として60,000を計上する.物品に関しては,新しいデータ取得時のHDD,成果配布物作成のためのプリンタ消耗品を購入予定である.
|