2013 Fiscal Year Research-status Report
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24700110
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮村 浩子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 副主幹研究員 (20376859)
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Keywords | 可視化 / CG / ポイントグラフィックス |
Research Abstract |
前年度に開発した「ポイントベースモデリング」では,さまざまな形式のデータをポイント形式に統一して格納した.本年度はこのデータを表示するための「ポイントベースレンダリング」を開発し,「作成したデータ構造から観察者の視点に合わせたマルチスケール情報の提示手法の確立」を実現した.ポイントベースレンダリングの基本プログラムを作成するにあたっては,ポイントにサーフェルと呼ばれる円盤を配置し,そこに物理量を色に置き換えて表示する方式と,ポイントの集合からドロネーの三角形メッシュを構築し,そこに物理量を色に置き換えて表示する方式の2つを実装した.レンダリング対象となるデータ量が多い場合にはサーフェル表示の方が有効であるが,サーフェルでは空間を埋められない小規模なデータサイズであり,かつ連続体として表示したい場合には三角形メッシュによる表示の方が有効であるため,双方を実装するに至った.そして,階層型データ構造を用いて,階層構造におけるスケール方向の深さと,観察者の視点の深さとを連動させ,観察者が視線を深くもぐらせて対象モデルを注意深く観察する際には提示するスケール(データの詳細度)も階層構造上の階層を深くして詳細化して表示し,逆に全体概要を観察する際には上位階層を用いることによって,表示データ量を削減したレンダリングを実現した.これによって,対象モデルのマクロからミクロまでのスケール間の情報を,シームレスに表示できる機能を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プログラムの機能開発に関しては,当初の予定通りに進んでいる.しかし,想定していた対象データを利用できなかったため,原子力施設データを用いて実装している.また,東京電力福島第一原子力発電所の事故による影響を調査するために、航空機によって発電所周辺の空間線量値を測定したデータがあり,このデータへの適用も実施している.この場合,日本全体レベルで観察する際には,大局的な情報を連続体として塗りつぶした状態で示すことが有効であり,そこから焦点を絞り込んで狭い地域での状態を詳細に観察する際には計測点の位置が明確にわかるよう,連続体ではなくポイント表示が有効である.これらの切り替えを開発したシステムのマクロからミクロへの視点移動と同様に実施した.対象となる入力データに依存しないマルチスケール・マルチフィジックスデータの可視化手法の開発が目的であるため,このまま,東京電力福島第一原子力発電所周辺の線量データを対象として機能拡張を実施していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,第一四半期で原子力施設データ,空間線量データ等様々なデータに適用実験を実施し,その効果を検証するとともに,ユーザインタフェースも含めて可視化システムとしての構築を実施し,数値シミュレーションの研究者,データ計測の研究者にとって使いやすいものとなるよう改良する.また,新しいデータが入手できた場合にはここで適用実験を実施する.第二四半期では,第一四半期で扱ったデータの提供者に開発した可視化システムと可視化結果を提供し,本システムの有用性を検討してもらう.この検討をもとに,第三四半期では新たなる機能開発やユーザインタフェースの整備を継続しつつ,適用実験を実施する.また,成果を発表するための論文執筆に取り組む.代用四半期では3年間の研究成果をまとめる.このような実施計画のもとで,当初予定していたマルチスケール・マルチフィジックスデータの可視化システム開発を完了する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外出張を計画していたが,論文が不採録となり,出張を取りやめたため. 昨年度予定していた海外出張を今年度実施することで,出張旅費として使用する.また国内の会議にも積極的に参加する.
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