2012 Fiscal Year Research-status Report
創作活動におけるユーザ状態推定に基づくリファインディング支援
Project/Area Number |
24700116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 景子 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (10585756)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リファインディング |
Research Abstract |
本研究では,作業自体を妨害することなく制作者について得られる情報を取得し,そこから制作者の状態を推定し,制作物に対してメタデータとして付与するためのインタフェースを構築することを目指している.これを実現するために,(1)創作活動を妨害することなく動き・生体情報を収集および記録することが可能か,(2)その情報をもとにユーザの状態推定が可能か,また(3)それらをメタデータとしてユーザに提示することで制作物のリファインディングが効果的に行えるかの3点を検証することを課題としている. 当初の計画では,本年度は項目(1)の動き・生体データの計測装置の構築,次年度に項目(2)のユーザ状態推定システムの構築を行う予定であったが,項目(1)のうち動きデータのみに着目し,項目(2)のユーザ状態推定までを行った.具体的には,動きデータとして(a)キーボードの打鍵リズムパタンを取得する装置と,(b)ペンドローイングの軌跡を取得する装置を構築し,(a)では日記記入時の打鍵情報からその記入時のユーザの感情状態を推定する手法の確立を目指し,(b)では中級者のドローイング動作の特徴からユーザがよい/わるいと判断するストロークの判別手法の確立を目指した.これらの研究成果は学会発表に向けて現在投稿準備中である.ただし今のところそれぞれにおいて判別精度がよくないため,今後被験者実験を長期的・人数拡大をして行うことでデータ量を増やして分析する必要と,新たなセンサを導入する必要性があると考える. また,動き・生体データは取得していないが,ログデータへメタデータを付与しユーザに提示するためのインタフェースも別途構築した.次年度以降は本システムと前者の2種のシステムを今後融合して,本研究題目で掲げた目標の実現を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では項目(1)のみに集中する予定であったが,生体データの収集・分析に関する知識が乏しかったため,動きデータのみに着目し,項目(2)までの内容を目指して研究を行った.先の概要でも述べたが,現在のところ,動きデータを取得しユーザの状態を推定する手法を2種実装したが,それぞれ精度が十分とは言えない. その理由として,まず(a)に関しては,感情を推定して日記にメタデータとして付与するためのインタフェースの構築を目指し実験を行ったが,感情の励起が不十分という実験設定が不適切だった可能性が考察より得られている.さらに,大規模かつ長期的な被験者実験が行えなかったため,状態推定のためのデータ量が足りず,十分な学習が行えなかったことも挙げられる.(b)に関しては,ユーザ毎の判別精度は比較的確保できたが,よい/わるいの2種の状態判別しか行えないため,今後状態の分解能を増やして行くことを検討したい. 今後はこれらの成果を踏まえ,まず実験設定を見直した上で被験者を増やし,学習のためのデータ量を確保した上で再度分析を行う.さらに生体データを収集できるセンサを新たに導入し,ユーザ状態推定手法を確立する.今年度は動きデータのみを対象としたが,今後の計画のための基礎的な知見が得られたため,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画の大枠では,1年目に項目(1),2年目に項目(2),3年目に項目(3)の予定であったが,本年度は動きデータのみに着目し,項目(1)および(2)を実装・評価した.そのため申請時の計画と少し変更し,今年度は上述した知見を踏まえ,項目(1)と(2)の再実験を行うことと平行し,生体センサから得られるデータを取得する新たなシステムの構築,動きデータに加えて生体データの分析を行う.具体的には以下の項目で研究を推進する. 項目(1):ドローイング中に計測可能な動き・生体データからユーザの特徴的な状態変化が抽出できるかを調査する.本年度はドローイング中の動きデータのうち筆圧,ペン先の移動軌跡を取得し分析を行ったが,次年度はそれに加えて他の動きデータ(滞空時間や手腕の位置情報など)と生理データ(発汗,脈拍,呼吸など)を,ローイング作業を妨害しないよう計測するための装置を構築する. 項目(2):項目(1)で構築した装置を用い,被験者実験によりドローイング中の動きデータおよび生体データの計測を行う.それらの計測データから得られた特徴量がドローイング結果,ユーザの状態とどのようにマッピングされるかを記録する.この過程で,計測データのうち,メタデータを提示するインタフェースの構築を前に,重要なパラメタとなりうるデータの選別(圧縮)およびモデル化を行う.そのマッピングの際に,データの粒度,最終的にメタデータとして提示する感情や意図の種類と数を決定する. 項目(3):項目(2)で抽出されたメタデータをコアデータに付加してユーザに提示するインタフェースを構築する.その後,被験者実験にて,このインタフェースと項目(1)で実装した計測装置を組み合わせ,創作活動が計測により妨害されないか,リファインディングが効率的になったかの2点を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)