2013 Fiscal Year Research-status Report
実環境センシングに基づく投影型知的照明の視覚情報配置手法
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24700119
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山本 豪志朗 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (70571446)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 拡張現実感 / 投影型システム |
Research Abstract |
本研究ではユビキタスプロジェクションシステムを組み込んだ知的照明環境下において,ユーザの日常的な活動を支援する情報提示空間の実現を目指している.これらを実施するため,三つの技術課題を設けている:(1) ユーザを含む空間内の実環境センシング,(2) ユーザ状態に応じた視覚情報配置,(3) 配置面に応じた複合現実感重畳投影.当初の計画では,本年度の実施項目として,項目(1)の複数台の距離画像センサを用いたユーザの三次元形状データ取得技術,項目(2)のヒューマンモデルを用いたユーザの位置姿勢計測技術,項目(3)では投影技術の向上をそれぞれ目指していた. 本年度は特に,項目(2)および項目(3)の研究に取り組んだ.項目(2)では,投影型システムによって提供されるインタフェースを改善することを目的とし,ユーザの使いやすさ,見やすさを考慮したメニューの配置や複数の入力インタフェースの提案を行った.また,棚などのものを格納できる場所に対してRFIDシステムを導入することでその内部との関係を視覚的に提示するシステムを提案実装した.項目(3)では,投影像の質感向上を目指し,反射率や環境光の変化に対して頑強に目標となる見かけとなる投影手法を提案した.経時加法混色によって目標色となる2色を高速で切り替えながら投影し,それらを同期撮像することにより,人には目標とした見かけでありながら,システムでは2色投影による反射率・環境光の変化の推定を実現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究項目(2)と(3)に注力しつつ研究を進めた.その結果,ユーザの認識とそのデータベース照合に関しては解決していない問題もあるが,知的照明環境化でのユーザインタフェースや,棚等に収められた収納物体に関する情報の投影表示など,ユーザの日常的な活動を支援する情報提示手法に関して進捗が見られた.RFIDシステムと連動させることで,直視できない棚の中身等を適切に扉面に投影表示し,ユーザフレンドリな知的照明環境を実装した. また,知的照明技術として,複合現実感重畳投影で提供される投影像の質感向上に関しても進捗が見られた.従来では周辺の照明変化は考慮せず,投影対象となる領域の物体反射率のみを考慮していたが,照明変化によって環境光が異なったとしても,よりロバストに見かけの制御を行う手法を基礎検討した.そして,目標投影像の各ピクセル値を適切な2色に分離し,高速に切り替えることで,人には見かけ制御された映像を,同期カメラには環境光および反射率を求めるための映像をそれぞれ提供できる可能性を確認した. ただし,システム構築後は簡易な実験によってそれぞれの効果を確認した状態に留まっており,研究業績としては次年度にてこの成果を発表していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,各研究項目で実施してきた内容を改善するのとともに,研究結果を発表していくことを主体とする.最終的には,具体的な利用シーンを想定し,コミュニケーション,受動的情報享受,知識補完機能といったアプリケーションの開発を行う.個々の技術に関して実データを伴う実証実験を行い,開発アプリケーションを含めたシステム評価実験を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主たる理由は,本研究業績としての発表を次年度に実施する計画に変更したため,その資金としての使用金額が生じたことにある. 研究発表および追加実験を必要とした際の経費として利用する.
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