2013 Fiscal Year Research-status Report
脳機能計測を利用した人的操作ミスの原因となる認知的ゆらぎの検出
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24700121
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 直樹 東北工業大学, 工学部, 講師 (70400463)
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Keywords | 脳機能計測 / ヒューマンエラー / 認知プロセス |
Research Abstract |
平成25年度は、実施計画に基づきfMRIによる 認知的ゆらぎを特定する脳機能計測実験の実施を行った。具体的には、(1)心理課題を用いたヒューマンエラーに対する認知的ゆらぎの神経基盤の描出、および(2)熟練技能者と一般被験者との間の技能差を反映する神経基盤の描出、の2つの実験を遂行しヒューマンエラーを生じたり、エラーに対処しようとする認知的揺らぎをの検出および、作業への熟練が脳活動に対して与える影響について解析を行った。その結果は26年度以降に国際学会での発表、学術論文として成果公開する予定である。 またNIRSを用いた脳機能計測実験としては、予定していた操作ミスに関与する認知的なゆらぎをNIRS測定装置により計測可能である事の実証実験を行い、fMRI実験と比較可能な計測データを得る事が出来た事から、次年度にデータを分析し、認知的ゆらぎを検出する信号処理手法の開発を目指す。それとあわせて、昨年度までの研究成果を補強するための実験として、作業課題時に被験者に対して設定される実験条件及び教示される課題ルールが認知活動に与える影響の評価実験を行い、左側前頭部の局所的な関与を特定できたため、26年度に国際学会で発表を予定している。他にも、課題に対する効力感や課題に対する熟練を評価するための追加の脳機能計測実験、およびスマートグリッドシミュレータを用いた課題に対する心理的構えのゆらぎを評価する脳機能計測実験を行い、今後の研究計画に対し有用な知見を得る事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画である、fMRIによる認知的揺らぎを検出するための脳機能計測実験の遂行し、操作ミスやそれに対する認知的仲前の認知活動を反映する脳領域として内側前頭前野の関与を特定し、内側前頭善野の活動はNIRS装置を用いて計測可能な領域に観察された事から、NIRS装置による計測可能性についても検証する事が出来た。 また、NIRSを用いた脳機能計測実験計画に関しても、当初計画通り、被験者数を増加して統計的に有意な結果を得る事ができ、その他にも認知的揺らぎに関わる脳活動を捉えるための脳機能計測実験を複数遂行し、有用な知見を得る事が出来た。 以上のことより、研究計画は順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前半は、前年度の研究内容を継続してfMRI実験で得られた脳科学的知見とNIRS実験で得られた計測結果との間の関係性についての分析を行う。その後に、NIRS計測信号における認知的ゆらぎの知見を元に、ヒューマンエラーの原因となりうる認知的ゆらぎ信号を脳活動信号から検出する信号解析手法の開発、および操作ミスを誘発しやすい脳活動状態を明らかにする事を行う。そして、これらの信号解析手法を利用した、操作ミスを誘発しやすい脳活動状態では情報システム利用者に警報音等で注意を促す操作ミス警報システムのプロトタイプモデルの構築を目指す。信号処理およびゆらぎ信号検出には、個人内変動・個人間変動の双方に対応可能な検出手法が必要になる事から、多くの被験者からデータを収集する事により、少ないチャンネル数の計測データからでも検出可能な信号検出手法の開発を目指す。またこれまでに得られたデータをまとめ、学術論文化や学会発表の形で公表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳機能計測実験に関わる人件費および消耗品費の予定見積額と実使用額との差から5,753円の差額が生じた。 未使用額が小額である事から、26年度に実施する脳機能計測実験の消耗品費の調整に充当する。
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Research Products
(1 results)