2012 Fiscal Year Research-status Report
識別パターン発見手法に基づく確率モデルの説明的分析手法の開発
Project/Area Number |
24700141
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
亀谷 由隆 名城大学, 理工学部, 准教授 (60361789)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 識別パターン / ベイジアンネットワーク / 分枝限定法 |
Research Abstract |
本研究では識別パターン発見を利用したベイジアンネットワークの説明的分析手法の開発を目指しているが,2012年度においては,(1) 識別パターン発見アルゴリズムの洗練,(2) ベイジアンネットワークの確率的推論アルゴリズムの調査,(3) 確率的クラスタリング結果の特徴付けへの応用に取り組んだ.まず (1) の識別パターン発見アルゴリズムの洗練においては,RP-Growth というアルゴリズムを開発し,データマイニング分野の著名会議の一つである SDM-12 にて発表を行った.RP-Growth では分枝限定法と生産性 (productivity) と呼ばれる制約に基づく枝刈りによって効率的な識別パターンの探索が可能になる.この RP-Growth については,更に効率的な飽和パターンアルゴリズムである LCM に前述 RP-Growth の特長を加えた識別パターン発見アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムに関する論文は現在国際会議に投稿中である.一方,(2) のベイジアンネットワークの確率的推論アルゴリズムの調査については,変数消去法 (variable elimination) および変数消去法を経由した接合木 (junction tree) アルゴリズムの詳細を調査し,実装に向けた検討を行った.更に (3) では確率的クラスタリングで得られる各クラスタを特徴づける識別パターンとして AND-OR 式を許す(従来は AND 式のみ)手法を開発した.そしてこの手法を幾つかの実データに適用し,その効果を確認した.この成果は国内研究会で発表済みである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
識別パターン発見とベイジアンネットワークの確率的推論という2つの技術的基盤のうち,識別パターン発見アルゴリズムの洗練に関しては順調であると考えている.識別パターン発見に必要な識別スコアの検討,深さ優先探索における分枝限定法の導入,接尾探索木上で生産性制約に基づく枝刈り,といった技術要素は充分に洗練できたと考えている.これらの技術要素はいずれもベイジアンネットワークの説明的分析手法の一つである Yuan et al. の Most Relevant Explanation (MRE) で用いられているものよりも優位性があると言える.一方,ベイジアンネットワークの確率的推論については開発がやや遅れ気味である.2012年度で検討を行った,変数消去法を経由した接合木 (junction tree) アルゴリズムを早期に実装する必要がある.その上で,説明的分析に適した改良(例えば推論の途中結果のキャッシング)を加えることを検討する.更に確率的クラスタリングの特徴付けとは別の応用に取り組む必要がある.
|
Strategy for Future Research Activity |
2012年度の研究費はほとんどを高性能な実験用パソコンと書籍の購入に充てた.開発した識別パターン手法のベンチマーク評価をこれらの実験用パソコンで実施し,論文投稿につなげている.また,ベイジアンネットワークをはじめとするグラフィカルモデル,説明に類した推論行為,機械学習およびデータマイニング技術,に関する書籍を購入し,ベイジアンネットワークの説明的分析手法を具体化する作業に活用している.更に実験評価のための文例データも試験的にレンタル使用し,実応用への検討を行っている.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度でも引き続き必要な書籍の購入を行っていきたい.また,実験用パソコンも必要に応じて増設する予定である.更に,国外発表,国内発表を複数考えており,旅費に研究費の多くを割り当てたいと考えている.
|
Research Products
(2 results)