2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700160
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大村 吉幸 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10598022)
|
Keywords | 行動計測 / 触覚センサ / 感覚行動システム / 実世界行動データベース |
Research Abstract |
柔軟・高密度な触覚センサをフレキシブル基板に実装する独自技術を応用し、ヒトが多様な物体を扱う際の、圧力分布と姿勢角を高速度で同時計測する触覚センサグローブの開発と、ヒトの手の接触運動スキルを解析し、ヒトの接触状態制御法について知見を得ることが目的であり、本年度は、平成24年度までに開発した触覚センサグローブを用いて、被験者実験を行った。さまざまな日常物体について、複数人の被験者に対して、さまざまな物体操作時のデータ計測を行った。 物体を識別し、運動を切り替えるタスクにおいては、運動の切り替えに先行する接触分布の違いを得ることができた.また、物体の把持の際には,物体と手との間で接触位置が移動する様子が観測され、把持の際に物体の位置を「接触を感じながら」調整することが明らかになった。 また、円柱上の物体を手の上で転がす運動について、A:重心が中央の条件、B:重心が偏った条件、の2条件について計測を行い、運動、圧力パターンについて分散解析を行った。すると、Aの条件で分散が大きく、Bの条件で分散が小さいという結果が得られた。Bの条件は、重心が手のひらの中央から外れるため、より難しい条件となっている。ロボット制御では、外乱の小さな条件のほうが分散が小さいのが一般的であるが、ヒトの制御では、「逆」で、不安定性な条件でより分散が小さくなることが、運動、圧力パターンの両方から得られた。 この結果は、ヒトが手の制御を行うときに、タスクがより容易な場合には、大雑把な制御を行い、難しくなると丁寧に精密な制御を行うことを示唆するものであり、ロボットの手の制御には従来注目されてこなかった観点である。この結果は、ヒトの神経系に関する知見にも示唆を与えるものである。
|
Research Products
(1 results)