2012 Fiscal Year Research-status Report
グラスマン表現における計量構造に着目した特徴抽出及び脳信号処理への応用
Project/Area Number |
24700163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鷲沢 嘉一 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10419880)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Grassmann多様体 / Mahalanobis距離 / 共空間パターン |
Research Abstract |
Grassmann多様体上に統計的な距離であるMahalanobis距離を導入し,理論構築を行った.パターンをGrassmann多様体上で表現することで,パターンの変動を含む特徴を表現することができ,高精度な知的情報処理が可能となることが期待される. 従来法では,Grassmann多様体上の距離を決定論的に定めていたため,パターンの分布は考慮されない.このため,分布に偏りがある場合には,距離がパターン同士の相違尺度を正しく反映しない問題点がある.Euclid空間上のパターン分布と異なり,Grassmann多様体上のパターン分布の様子を直接可視化したり,何らかの統計尺度で分布を表現することは難しい.このため,一般的にGrassmann多様体上のパターン分布に偏りがあるかどうかを調べることは容易ではないが,Euclid空間上で表現されたパターンには,多くの場合に偏りがあることが知られているため,Grassmann多様体上に偏りを考慮した距離尺度を導入することで,パターン同士の相違尺度を正確に表現することができると考えられる. 提案法では,Eulid空間での統計的距離の尺度であるMahalanobis距離に着目し,これを別の表現で特徴づけた.この特徴づけをGrassmann多様体に自然な形で拡張することにより,Grassmann空間上での統計距離を実現した. 提案した手法をコンピュータビジョンにおける物体識別問題へ応用したところ,従来法と比較し,識別誤差が1/2以下となり,良好な性能を示した.また,脳波分類手法の1つである共空間パターン(CSP)法と提案手法を組み合わせる手法も提案した.この手法では,従来法のCSP法を上回る識別性能を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論構築,シミュレーションとも順調に進展している.特に物体識別問題に置いては,従来法を大きく上回る性能を示した.これまでの研究成果は,国際会議1件及び,論文に投稿し,現在査読中である.
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Strategy for Future Research Activity |
提案法と共空間パターン(CSP)法との組み合わせでは,CSP法のみの場合よりもよい識別率が得られた.提案法は,距離尺度をそのまま用いるため,識別器を用いて脳信号を識別するCSP法単体よりも柔軟であり,マルチクラス問題にも簡単に拡張でき,マルチクラス問題における識別性能も高いと考えられる.また,CSP法には様々な拡張があり,それぞれ,良好な性能を示\している.例えば,CSSP(Common spectral spatial patterns)法では空間フィルタと周波数フィルタを同時に決定することで,識別に有用な電極と脳信号の周波数帯を同時に推定する.他にもFilter-band CSP法やCSSSP法などが提案されている.これらの手法とGrassmann表現法を組み合わせることで,更なる識別精度の向上が期待できる. パターン変動を扱う類似手法に,相互部分空間法(MSM)が提案されている.MSMは,Grassmann多様体上でパターンを表現するが,Grassmann多様体上の距離ではなく,部分空間同士の角度を擬距離として扱う.MSMの拡張手法として,再生核Hilbert空間においてMSMを扱うカーネル相互部分空間法(KSM)が提案されており,MSMを上回る性能を示している.提案法はMSMで指摘される問題点がなく,前年度の比較実験でも安定してMSMを上回る性能を示している.このことから,提案法を再生核Hilbert空間に拡張することでさらに,精度の高い距離尺度を導入することができると考えられる. 以上で述べたとおり,今後は(i)脳信号処理における,マルチクラス化及びCSP法の拡張手法との組み合わせ,(ii)再生核Hilbert空間上のGrassmann表現法に関する研究を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)