2012 Fiscal Year Research-status Report
難視認性パターンの光学的投影による撮影防止技術の開発
Project/Area Number |
24700164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
生源寺 類 静岡大学, 工学部, 助教 (90432195)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 撮影防止技術 / キャリアスクリーン画像 / 潜像 / デジタルカメラ |
Research Abstract |
本研究は、対象物を問わない画一的な撮影防止技術の構築について、申請者が培ってきた潜像技術を拡張した撮影防止パターンの生成技術によって確立を目指す。平成24年度においては、撮影防止パターン生成法の開発およびデジタルカメラを用いた評価実験の実施を目標とし研究を実施した。また、そのための簡易評価システムの構築を行った。 【撮影防止パターン生成法の開発】デジタルカメラの液晶ファインダへ表示する際に生じるモアレ縞を利用した撮影防止パターンの生成手法の一つとして、申請者が提案している潜像技術「チェッカパターンキャリアスクリーン画像」をベースとした「階調反転を考慮したキャリアスクリーン画像」の生成手法を開発した。本手法は、顕在化される画像に微細構造を持たせることで、デジタルカメラを用いた復号時に階調反転の生じない領域を作ることが可能である。 【簡易評価システムの構築】撮影防止パターンの光学的な投影による撮影防止技術手法の妥当性を確認するための簡易評価システムを構築した。簡易評価システムでは、市販のプロジェクタおよびビデオカメラを用いることで、光学系の設定などを省くことができ速やかな構築を実現した。 【デジタルカメラを用いた評価実験】市販のデジタルカメラおよび簡易評価システムを用いた評価実験を行った。プロジェクタを用いてスクリーン上に投影した撮影防止パターンにおいても、デジタルカメラの液晶ファインダ上に復号結果が得られることを確認した。また、複数のコンパクトデジタルカメラを用いた実験において、撮影距離等の復号条件は異なるものの、使用したすべてのデジタルで復号結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
撮影防止パターン生成法の開発、簡易評価システムの構築においては、おおむね順調に進展しているものの、デジタルカメラを用いた復号評価実験において、十分な定量的評価ができていない。そのため定量的に評価する手法の開発が必須である。また計画時に考慮していなかった課題として、フィードバック評価用CCDカメラを用いて、コンパクトデジタルカメラの液晶ファインダを撮影する際の、コンパクトデジタルカメラの液晶ファインダの画素構造の影響に対する対策について検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、撮影防止パターンの拡張、および赤外線レーザ光源・デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を用いた赤外光評価システムを構築する。 【撮影防止パターンの拡張】多機種のデジタルカメラに対応するため、様々な顕在化条件で生成された撮影防止パターンを時間的・空間的に変調させた動画として作成することを検討する。時間的な投影パターンの変化において、その変化が大きいとき部分的な階調反転、あるいはエッジなどの顕在化が生じる可能性が考えられる。そのため、急激な変化を避けるための工夫が必要になる。拡張した撮影防止パターンは、簡易評価システムを用いた評価実験を行い、提案手法の妥当性を評価する。また同時に、定量的な評価手法の確立を目指す。 【赤外光評価システムの構築】赤外線レーザ光源およびDMDを用いた評価システムを構築し、赤外光や高速変調などを用いた高度な撮影防止システムの構築を目指す。これに先立ち、赤外LED照明装置を用いた予備実験を行う。予備実験を行うことで、スムーズな赤外光システムの構築を行うだけでなく、速やかな赤外光を利用した撮影防止パターンの生成手法の開発を可能にする。赤外光は、肉眼では認識できないが、デジタルカメラなどに用いられているイメージセンサでは、その一部に感度があるため、撮影防止パターンの光源として有効である。そのため、赤外線レーザを光源として用いる。また、DMDを利用することで、高速かつ柔軟な撮影防止パターンの投影が可能になる。DMDは微細なミラーの向きを高速に変えることで映像を投影するため、コントラスト比が非常に高く、特にモアレ現象を利用した撮影防止パターンでは、2値画像を扱うためDMDによるパターン投影との相性も良い。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
簡易評価システムでは、市販の液晶プロジェクタおよびビデオカメラを用いてシステムを構築することで、当初予定していた評価システム構築用画像処理装置・カスタムPCの代わりに、汎用PCによる制御を行い研究を実施したため、次年度使用の研究費が生じた。 赤外光評価システムでは、より高速な演算やデジタルマイクロミラーデバイスの制御が必要となるため、評価システム構築用画像処理装置・カスタムPCを購入する。
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