2013 Fiscal Year Research-status Report
統計的機械学習による音楽情景分析と音楽的要素のディレクションの研究
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24700168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
糸山 克寿 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60614451)
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Keywords | 音楽情報処理 / 多重音解析 / 自動採譜 |
Research Abstract |
当該年度は,(1) 雑音や分離歪みを含む楽器音からの,楽器音合成器のパラメータ推定と楽器音の再合成,(2) 演奏者の習熟度に合わせて難易度を調節可能な,ギター演奏に対するギタータブ部の自動推定,(3) 伴奏を含む歌声からの歌唱表現の自動抽出と歌唱合成器への歌唱表現の転写,に取り組んだ.(1) と (3) は交付申請書における「音楽的要素のディレクション」,(2) は「汎用性・頑健性の高い多重音分析」に対応する. (1) 音源分離などに起因する雑音や歪みを含む楽器音に対して,それらを含まないクリーンな楽器音を得るための仮想楽器音源のパラメータを推定する.多数の楽器音をランダムに生成し,楽器音からフレームベースの音響特徴量とその統計量を計算する.重回帰分析を用いて音源パラメータと音響特徴量との関係を学習し,未知楽器音のパラメータをその関係性を用いて推定する. (2) ギター演奏者の演奏支援をするために実際のギター演奏音から演奏者の習熟度に応じたタブ譜を自動生成する手法について述べる.具体的には,初級者向けには音符の欠落などを許容してでも演奏が容易なタブ譜を,上級者向けには音高を正確に再現するタブ譜を,それぞれ生成する.推定される運指の難易度は,音響再現度と運指容易度の相対的な重みをユーザー側で調整することによって変更可能である. (3) 市販楽曲らビブラート,こぶしやグリッサンドといった歌い方に関係する特徴を歌唱 表現として抽出することで、歌手の歌い方のライブラリを作成する手法について述べる.これらの特徴は,歌唱F0 軌跡中の特徴的な変動として現れる.本手法ではまず,時間周波数領域での最適経路探索問題を定式化することにより高周波数分解能,高精度な歌唱F0 推定を行う.推定F0 軌跡からパターンマッチングにより各歌唱表現を同定,パラメータ表現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の成果である個別基礎技術の開発・評価に加えて,楽器音一般,ギター音,歌声という様々な音楽音響信号に対する応用技術の開発が進捗しているため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度である.申請書に記載した研究計画通り,本年度は音楽的要素のディレクションシステムを統合し,総合的な評価を行う.
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