2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池本 周平 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (00588353)
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Keywords | 確率共鳴 / 生物規範アルゴリズム / 筋骨格ロボット |
Research Abstract |
大腸菌は,誘引物質や忌避物質の正確な濃度計測や現在位置の計測が不可能であるにも関わらず,その行動にはそれらの物質の空間的な濃度勾配が反映される.この能力は走化性と呼ばれ,理論生物学などの分野で盛んに研究されてきた.特に,我々の研究グループでは「なぜ知覚情報からは計算不可能な濃度勾配の情報を行動に反映させられるのか?」を説明する原理・メカニズムとして確率共鳴と呼ばれる現象に注目している.本研究では,応募者が走化性における上記の現象のモデルとして提案している「最小行動規範」に注目し,その原理・メカニズムを解析的に解明することで,同メカニズムをロボットの運動制御・学習に応用し,その工学的有用性を示すことを目指した. 2年間の研究期間を通じ,当初予定していた最小行動規範に従うエージェントの振る舞いについて解析的な説明を与え,ロボットの運動生成において知覚-行動系における確率共鳴の応用を行うことができた.加えて,最終年度では,確率共鳴を利用する際に主要な課題の一つであるノイズ強度の調整について注目し,得られた研究成果の有用性を高める研究を行った.その結果,確率共鳴による入出力信号間の相互情報量の増加を,入力信号を用いず疑似的に評価する手法を提案し,研究発表を行った.本研究計画で得られた成果を組み合わせることにより,知覚-行動系における確率共鳴を利用し,ロボットの運動生成を行うことができる可能性が広がったと考えられる. 一方,当初予定していたヒト規範型ロボットハンドを用いた物体認識や物体の安定把持への応用については,実験装置の準備に困難があり,十分に目標を達成することができなかった.ロボットハンドにおけるタスクに留まらず,多くの種類のロボットシステムに対して確率共鳴の応用を行っていくことは今後の重要な課題と考えられる.
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Research Products
(2 results)