2013 Fiscal Year Annual Research Report
手指伸筋腱ネットワークに潜む関節トルク調整機構の解明と筋腱張力推定問題への展開
Project/Area Number |
24700201
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
多田 充徳 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 研究チーム長 (70392628)
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Keywords | 筋骨格モデル / モーメントアーム / 伸筋腱 |
Research Abstract |
繊細な手指の機能は複雑な筋腱ネットワークから生み出される.特に手指の伸展機構に関しては,伸筋腱が基節骨の背側で中央索と2本の側索に分岐すると同時に,これら3本の索に撓側と尺側から伸びる手内筋が接続するなど,屈筋腱の走行に比して極めて複雑な構造を持つ. この複雑な腱構造の相互作用に着目し,内在筋腱の張力が外在伸筋腱の走行や手指の関節運動に与える影響を明らかにするために,腱骨格モデルを用いた動力学シミュレーションと,その妥当性を検証するための筋骨格運動計測実験を実施した. 基本的に腱とは繊維質の束である.このため,曲げ方向に比べて引張り方向の剛性が高いという機械的な特性を有する.動力学シミュレーションでは,筋要素を用いてこの特性を模擬すると同時に,骨との干渉を防ぐためのラッピング要素を導入することで,関節の屈曲に伴い側索が掌側に移行する現象を再現できるようにした.また,中央索と側索に接続する手内筋の作用を模擬するために,これらの索に対して仮想的な外力を加えられるようにした.このモデルを用いて屈曲運動の動力学シミュレーションを行った結果,手内在筋が活動するほど中手指節関節に比べて指節間関節の屈曲が遅くなり,このため指尖部がより大きなアーチ軌道を描くことが分かった. この妥当性を検証するために,手内在筋に異なる静荷重を加えた状態で深指屈筋腱を一定速度で駆動し,その際の手指の関節運動を計測する筋骨格運動計測を行った.深指屈筋腱の駆動距離と関節角度の関係や,指尖部の軌道を可視化した結果,動力学シミュレーションと定性的に一致する結果が得られた.
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Research Products
(1 results)