2012 Fiscal Year Research-status Report
構造をダイナミックに変化させる粒子群最適化法の提案とその分岐解析への応用
Project/Area Number |
24700226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松下 春奈 香川大学, 工学部, 助教 (00604539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非線形最適化 / 群知能 |
Research Abstract |
1.問題に応じて構造をダイナミックに変化させる粒子群最適化(PSO)法の提案 通常、PSO の粒子は完全結合である。つまり、常に他の粒子と最適解の情報交換し合うことで、群全体が最適解を探索する。一方、群知能を用いた最適化では、局所探索と大域的探索のバランスが非常に重要である。申請者は、この結合関係を変化させることで、探索方法の性質が変化することを解明した。例えば、他の粒子との結合関係が強いと、群の最適値への収束が早くなるため、簡単な問題に対しては有効であるが、複雑な問題では局所解に陥りやすい。反対に結合が少ない群では、自らの情報のみに基づき探索を行うことになるため、収束は遅くなるが、群に多様性が生まれ、局所解から抜け出しやすい。この特性を利用し、粒子間のネットワーク構造を最適化の途中で切り離したり再結合する新しいPSO を提案した。これにより、従来のPSO の主たるコンセプトは変えず、探索方法の性質を変化させることに成功した。 具体的には、結合度と呼ばれるパラメータを調節することで、粒子間の結合関係を変化させることが出来るPSOを提案した。結合度を高くすると構造は全結合に近くなり、低くすると、孤立する粒子が増える。ネットワークの切断・再結合を最適化中に行う確率が結合度である。結合度は手動設定とする。本手法の振る舞いを調査すると共に、実社会問題を含む様々な最適化問題に適用することで、本手法の有効性を確認した。また、本手法の性能を決定するパラメータ設定方法も調査し、通常のPSOと同様の簡単さで、提案手法が利用できることを解明した。これらの研究成果を、様々な国内、国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3編の学術論文、3編の国際議論文、及び3編の国内研究会での発表を行なっていることから、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
A)提案PSOを用いて、系の最適パラメータを探索することで、分岐点を見つけ出す。解析対象には、太陽電池をモデル化した電気回路を用いる。まず、日射強度が変化しない太陽電池回路に対して、提案PSO を用いたパラメータ設定を適用する。スイッチ力学系を用いた太陽電池回路の安定周期解は、周期倍分岐を経て不安定周期解へ変化する。また、この不安定周期解の時のパラメータは、システムの最大電力を引き出すことが知られている。この、周期倍分岐と最大電力を与えるパラメータを導く2つの式を、多目的最適化の目的関数とし、提案PSO でのパラメータ最適化を試みる。しかしながら、従来型PSO では、局所解から抜け出すことができないため、成功率が低い。提案PSO を用いることで、更に精度の高い結果が得られると考える。しかし、多数のパラメータに対する分岐解析は複雑なため、まずは最適化するパラメータを少なく設定し、徐々に増やしていくことで、最適化の難易度をあげる。提案PSO の検討、修正を繰り返すことを予定している。 B) 次に、実際の太陽電池設置時の様に、日射強度が時間に依存して変化する場合の回路に、提案PSO を適用し、最大電力を出力する最適値パラメータ設定を行う。応募者は以前の研究において、日射強度が固定である太陽電池回路に対するPSO でのパラメータ最適化を提案しているが、日射強度が変化する回路においては、まだ誰も検討できていないのが現状である。粒子数が固定である従来PSO とは異なり、状況に応じてネットワーク構造を変化させる本手法は、日射強度に出力が依存する太陽電池回路には、非常に有効であることが期待できる。これにより、PSO の応用と、新しい分岐解析の両観点からの成果が得られ、様々な分野への発展が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有効性を従来法と比較するため、太陽電池モデル化回路の実験を必要とする。そのため、オシロスコープを始めとした回路実験行う環境を整える必要がある。 非線形最適化領域の研究は流れが早く、学術論文誌や国際会議参加等での調査を欠くことができない。また、本研究テーマは、複雑ネットワーク、PSO、分岐解析についての研究を行っていないと難しいため、多くの未解決の課題が残されており、本研究を通して多くの成果が得られることが期待される。得られた成果は国際会議や国内研究会で発表することを計画している。また、得られた研究成果はまとめて、学術論文に投稿する。
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Research Products
(9 results)