2012 Fiscal Year Research-status Report
組合せ最適化問題に対する超多点差分進化の開発と勤務表作成問題への適用
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24700232
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
串田 淳一 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (10558597)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 差分進化 / 組合せ最適化 / 進化計算 |
Research Abstract |
本課題では,近年実用化に達している高い並列演算処理を持つ計算アーキテクチャの性能を十全に引き出すための差分進化(Differential evolution: DE)として超多点DEを開発する.また,開発したDEを勤務表作成問題へ適用することを目的としている.本年度は,DEのアルゴリズムの拡張として,1.組み合わせ最適化問題のためのDEの提案,2.並列実行可能な島モデルDEの提案,を行った. 1. 組合せ最適化問題のためのDEの提案 DEは実数値最適化問題を対象とした最適化アルゴリズムであり,各個体は実数値のベクトルで表現される.ここでは代表的な組合せ最適化問題の1つである2次割当て問題を対象とし,DE の離散最適化問題への拡張を行った.2次割り当て問題における解候補は整数値の順列であるため,提案手法では問題の解となる順列を直接個体の遺伝子としてコード化した.そのため,個体のベクトルの各要素は離散値となる.提案手法では整数値の順列を対象とした離散値のための差分操作を実装した.また決定変数が離散値の場合,通常のDEよりも初期収束が起こりやすいため,一定世代ごとに再初期化を行うことで解探索の効率化を図った. 2. 並列実行可能な島モデル型DE提案 DEにおいて超多点探索を実現するために,GAの並列化モデルの一つである島モデルをDEに導入し,複数の個体群が並列に進化する島モデル型DEアルゴリズムを提案した.提案手法では,島ごとに異なる制御パラメータを与え,個体群は各島内で独立に進化を行う.また,移住操作を行うことにより,各島の個体が持つ解の情報を全体で効果的に利用しながら解探索を行う.提案した島モデルを並列計算アーキテクチャ上で実行することで,大量の個体群を用い効率的に解探索を行う超多点DEを実装できると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DEこれまで連続関数最適化の分野で用いられてきた手法であり.組合せ最適化問題に対しては,理論・応用を含めて十分な研究が行われていない.そのため,今年度はまずDEの組合せ最適化問題への適用方法について研究を行った.提案したDEを2次割当て問題に適用した結果,離散最適化問題においてもDEの探索メカニズムは有効であることが確認できた.また,並列計算環境で実行可能なモデルとして複数集団を並列に進化させる島モデル型DEの提案を行った.島モデル型DEは,典型的なベンチマーク関数において通常のDEよりも探索性能が優れることを明らかにした.これらのDEアルゴリズムの拡張に関しては,研究成果を国際会議で発表し,概ね計画通りに遂行できたと考える.一方,離散変数空間ではDEの遺伝オペレータである差分操作の特性により,次元数が大きくなると局所解へ陥りやすいことが分かった.そのため,より多様性を維持できる進化オペレータの提案が次年度の新たな課題となった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.今年度は決定変数が離散値となる問題を扱うためのDEの提案を行った.提案したDEを2次割当て問題に適用した結果,ある程度の次元の問題では最適解を発見することができたが,高次元の問題に対しては探索途中で個体集団が局所解に陥りやすいことが確認できた.提案したコーディングおよび差分操作では,決定変数が離散値の場合,個体が解空間内で重複しやすく,差分ベクトルによる探索が有効に働かないことが理由であると考えられる.そのため,今後は決定変数が離散値となる場合でも,十分な多様性を維持しながら探索を行うDEの改良が必要であると考える.また,複数の制約が存在する勤務表作成問題では,制約を考慮して遺伝操作を行う必要がある.そのため,多重制約問題を扱うことができる共存型遺伝的アルゴリズム(CGA)を用いることも考慮している. 2.並列計算アーキテクチャに関しては,GUGPUによるプログラミングやopenMPなどを用い,マルチスレッドプログラムにより複数の個体集団を効率的に進化させる並列進化モデルを構築する予定である. 3.勤務表作成問題のベンチマーク問題がhttp://www.cs.nott.ac.uk/~tec/NRP/で公開されており,スタッフ数,スケジュール長,シフトタイプなどについて様々な設定の問題が提供されている.本研究ではこれらの問題を提案手法の評価に用いる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,並列計算アーキテクチャ上で超多点DEを実行するためにGPU演算を可能とするワークステーションを購入する予定である.また,計算機ソフトウェアや計算機関連消耗品の購入も予定している.
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Research Products
(5 results)