2012 Fiscal Year Research-status Report
形質依存と獲得に基づく遺伝的プログラミングの手法開発とその応用
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24700234
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 助教 (30511711)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝的プログラミング / 交叉 / 局所探索 / 近傍 |
Research Abstract |
本研究の目的は、式や自律制御のためのプログラム生成など、木構造で表現される変数からなる設計問題において、最適な構造を効率的に探索するための遺伝的プログラミング(GP)の汎用性の高い交叉手法を開発することである。 平成24年度は、局所探索機能を強化した交叉である多段階探索交叉をGPに拡張した。多段階探索交叉を木構造に適用するにあたり、2個体間の距離尺度の定義、近傍の定義および遷移における受理則の3点を決定する必要がある。木などグラフ構造において、ノード間の接続といった形状として現れる情報は個々のグラフの特徴や頻出パターンなどを理解する上で重要な情報の一つである。GPが扱う多くの問題においては、木の部分構造および個々のノードの記号が個体の目的関数値に大きく寄与する。ここでは、両親間で共通する部分構造およびノードを子に遺伝させるべき形質ととらえ、子ノードの順を考慮する近傍(OT近傍)およびその順を考慮しない近傍(UT近傍)の2種の近傍(バイアス近傍)を定義した。また、形質を破壊することなく、両親の形質の結合を促進する近傍生成法、およびそれに対応する距離尺度を定義した。交叉における局所探索過程では、温度パラメータに基づく遷移受理則(メトロポリス法)を導入した。 連続関数同定問題の例題を用いて探索性能の検証を行ったところ、従来の交叉と比較して、多段階探索交叉は小さなサイズの木で高い同定率を示した。また、多段階探索交叉における局所探索においては、遷移受理を決定する温度パラメータの設定によらず、両親の形質の結合を促進するバイアス近傍が一般に局所探索法で用いられるランダム近傍と比較して、高い探索性能が得られることを示した。さらにバイアス近傍においては、子ノードの順を考慮するOT近傍が、順を考慮しないUT近傍よりも関数同定問題に適していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目標は、木構造に適した距離尺度の定義、近傍の定義および遷移における受理則の3点を考案し、多段階探索交叉をGPに拡張することである。これらを検討し、GPにおける探索性能の検証に多く用いられる問題である連続関数同定問題のもとで他手法と比較し、非常に有効な探索性能を示した。これらの成果は国際会議で発表している。以上のことから平成24年度の目標はすべて達成したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においても,近傍の大きさ(変異の大きさ,近傍半径)および近傍を取る木の深さと相関長(エピスタシの強度)の関係の調査をもとに,相関長に基づく近傍半径決定則による近傍解生成手法の改良を行う.また,ヒューリスティックに基づく初期解の生成法を取り入れることでさらなる探索効率の改善を図る.GPの応用として,木構造で記述されるスタックフィルタの設計問題を考えている.インパルス性雑音除去を目的とし,雑音劣化画像から直接,フィルタの形状および適用演算則を決定する目的関数を設計したもとで,本提案手法を用いて雑音除去性能の高いフィルタを設計する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
木構造最適化に対するGPの開発環境と数値実験環境をハードウェアの面から改善するために,ワークステーションを1台購入する予定である.高い性能を有するワークステーションのため平成24年度の予算を一部(149,427円)繰り越した. 本研究成果を発表するために,2013 IEEE Congress on Evolutionary Computation(採録済)等,国際会議参加の旅費が必要となる.また,学会誌投稿料および研究成果の公開のための印刷費を研究費に計上している.
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