2013 Fiscal Year Annual Research Report
『バビロン(天文)日誌』未発表資料の所蔵状況調査、断片の結合と解読
Project/Area Number |
24700245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三津間 康幸 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (00568280)
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Keywords | バビロン / 天文日誌 / アッカド語 / 楔形文字 / セレウコス朝 / 大英博物館 / 粘土板 / アッシリア学 |
Research Abstract |
本研究においては、2012年4月及び2012年10月から2013年8月まで、ロンドンの大英博物館でほぼ連日研究を行い、アッカド語楔形文字資料『バビロン天文日誌』の調査を行った。特に刊本に未収録の粘土板(断片)およそ1000枚について、デジタル写真撮影、寸法の測定、そして各部の特徴の記録など、基礎的な作業を行った。また関連の粘土板(既公刊の日誌粘土板や天文文書、歴史文書)についても写真撮影、寸法測定、特徴の記録を行った。この作業の過程で、若干の粘土板断片について、断片同士が接合することを発見し、これを大英博物館のスタッフに報告した。今後、博物館の保存スタッフにより、断片同士の接着作業が行われる予定である。また2013年1月にはイスタンブール考古学博物館を訪問し、同館が所蔵する未公刊の日誌粘土板断片及び関連の天文文書について、同様の作業を行った。このような調査と並行して、2012年7月にライデン大学で開催された第58回国際アッシリア学会と、2013年7月にへント大学で開催された第59回アッシリア学会に出席し、古代のバビロンにおける日誌の編集過程を明らかにした。研究最終年度においてはへントでの発表の他、未公刊のセレウコス朝時代の日誌粘土板1枚について、学術雑誌にその解読結果を明らかにする論文を投稿し、受理された。さらに、いくつかの既刊行の日誌粘土板や関連文書について、現行の刊本では解読されていない部分、または現行刊本の読みに誤りあるいは疑義がある個所を示し、未解読テクストの解読結果や現行刊本のテクストの修正を報告する論文を執筆し、学術雑誌や論文集に発表、あるいは投稿し掲載確定の返答を得た。
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