2012 Fiscal Year Research-status Report
組織内文書の管理とアーカイブズの保存の連携に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
24700249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂口 貴弘 京都大学, 大学文書館, 助教 (80462175)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アーカイブズ / 文書管理 / 国立公文書館 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
米国の公文書管理制度は、19世紀末以降、行政運営の効率化と歴史的資料の保存・公開という、一見すれば全く相反する要求を調整し両立させるシステムとして段階的に整備された。このたび日本で施行された公文書管理法はこのような米国の制度を最大のモデルとして構想されたが、レコードスケジュール、レコードセンターなど文書管理とアーカイブズの連携を促す各種技法を真に機能させるには、その基本的性格と応用可能性をめぐる研究の深化が不可欠である。本研究では、米国における公文書管理手法の成立・普及過程を一次資料に基づき実証的に分析し、その日本における受容の経緯について検討する。 本年度は、米国において2回の資料調査を実施した。第1回調査では、米国国立公文書館(ワシントンD.C.及びメリーランド州)において同館の設立前後における連邦政府の文書管理関連文書を閲覧・複写した。また、20世紀初頭における文書整理法関連の資料を豊富に所蔵するヘイグリー図書館(デラウェア州)、及び関連文献の収集のため議会図書館(ワシントンD.C.)及びニューヨーク公共図書館を訪問した。第2回調査では、米国国立公文書館において補充調査を実施したほか、ハーキマー郡歴史協会(ニューヨーク州)にて19世紀末における文書整理手法の開発過程に関する企業文書を、ジョージ・マーシャル財団図書館(バージニア州)にて国立公文書館の元幹部職員の個人文書をそれぞれ閲覧・複写した。 これらの調査等で収集した資料に基づき、第二次大戦前後の米国連邦政府における文書管理改革に関する論文、及び同国の文書整理法教育の成立過程を取り上げた論文をそれぞれ発表し、また米国国立公文書館における評価選別手法の形成に関する口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は米国各地での資料調査に重点を置き、当初の年度計画よりも多い6機関を訪問して関連資料を入手することができた。一方、日程及び経費の都合上、日本国内における調査は初年度には実施に至らず、今後の課題として残された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の過程で、本研究に関連する重要な文書群が当初の訪問予定機関以外の米国の文書館等でも所蔵されていることが判明したため、可能な限りそれらについても調査を実施したい。あわせて、国立国会図書館憲政資料室や国文学研究資料館など、国内の文書館、図書館等が所蔵する文書管理関連資料の調査を今後進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
為替レートの変動等の理由から、平成24年度に予定していた図書の購入を見合わせた。この結果生じた次年度使用額については、翌年度の調査旅費等の一部として使用することを予定している。
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