2015 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディア利用における「実名」とアイデンティティの再定義
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24700250
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
折田 明子 関東学院大学, 人間環境学部, 講師 (20338239)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャルメディア / 実名 / 匿名 / プライバシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「実名」の位置付けと「名乗り」という行為を中心に、生まれてから死後までのプライバシーとは何かという観点からの調査と考察を行った。実名というものを個人がどこまでコントロールできるのかは国によって異なり、本人の意図に反して変えなければならない(継続できない)、あるいは変えることができないという状況から、プライバシーのコントロールにつながる可能性も見えてきた。 具体的な調査活動としては、Internet Identity Workshopにおけるセッション開催、ならびにWeb調査委託を行った。前者のセッションでは、「ゆりかごから墓場までのプライバシー」として、名前に紐付けられる情報はライフステージにおいて誰がどのようにコントロールするのか意見を集めることができた。後者のWeb調査では、旧姓使用者および事実婚実践者を対象に、インターネット上で利用する名前、コミュニケーション相手による使い分けについてアンケート調査を行い、実生活上での名前の同一性を志向する人はネット上でも同様に振舞っていること、敢えて旧姓と戸籍姓を併記せず片方のみの開示に留める人がいること、また人間関係によって名乗り方を変えている人がいることなどが明らかになった。 研究発表活動としては、情報社会学会におけるジャーナル発表、経営情報学会の大会およびICIS2015のWorkshopにおける口頭発表、書籍の分担執筆を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年12月に夫婦別姓に関する最高裁判決があり、これをめぐる報道から「実名」の位置付けについて考察できる資料が多く入手できる状況となった。そのため、これらを整理した上で改めて問題設定し、Web調査を実施した。そのため、実施結果の成果発表はやや遅れることとなったが、具体的な問題設定が明確になったという意味では予想以上の進捗となったとも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度で調査研究の本体は終了したが、外部発表の機会のみ残しており、これを今後実施する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が2014年10月から2015年2月まで産前産後休業を取得したため、特に海外出張に関する当初計画を年単位で変更せざるを得なかった。 また、「実名」の定義について、2015年10月からのマイナンバー導入ならびに2015年12月の最高裁判断による夫婦別姓選択制をめぐる議論といった背景の変化から、追加調査を2015年12月に実施することとなった。その成果発表が次年度にずれこんだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年4月に米国で開催されるInternet Identity Workshopに参加し、成果報告ならびに討議を行う予定である。
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Research Products
(4 results)