2012 Fiscal Year Research-status Report
ウェブマイニングによる人間行動の倫理性推論アルゴリズムの構築
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24700253
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
RZEPKA Rafal 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (80396316)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | オーストラリア / ポーランド / ニュージーランド |
Research Abstract |
申請者が本研究において提案するのは、人間行動の倫理性推論アルゴリズムである。ここではシステムの行動は 、従来のアルゴリズムのようにプログラマの指示によるのではなく、多くのインターネットユーザが「民衆の知 恵」として蓄積してきたネット上のリソースから収集可能な「常識(倫理的コモンセンス)」により決定される 。これによりユーザからシステムへのフィードバックは最小限化され、システムを搭載したロボットは自律的に 行動可能となる。なぜならばこのシステムには、自動的に日常の行動パターンとその結果の抽出を行う「行為の結果の感情処理」アルゴリズムが実装されるため、ロボットの行動結果が人間にとって「善」か「悪」かをシステム自身が判断しうるからである。当該年度の計画は感情表現の抽出アルゴリズムの拡張を行って、中村の「感情表現辞典」からの人間の感情状態を10種のカテゴリーに高村らの単語Polarityのデータを追加した.中村と高村のデータを利用し,機械学習、類似発見とカテゴリー化のアルゴリズムを導入したが,ConceptNetオントロジーへの感情コンセプト追加には不十分であることがわかったが、WordNetとWebデータを用いて、コンセプ トの質を上昇することができた。多様な状況に対応可能な倫理的コモンセンスの自動抽出の再構築のため岡山大学が開発した意味役割付与システム「ASA」を導入した.「たら」「れば」「と」(IF表現) を用いて、Webからの因果関係抽出手法に形容詞処理を追加したが。文脈依存による誤りが多く、前後の行動パターンも処理するように決めた。人間の普遍的な行動を分析するため,Monash大学及びOtago大学の協力を得て、人間行動学と認知言語学を研究した。発表は国外4回と国内2回で、認知科学分野で2回.自然言語処理の分野4回,採録済みのジャーナルは1本(ポーランドの大学の学生と共著)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文脈の影響が大きく、誰がいつどこで何をどうやってしたかという状況把握のための統計的な手法の限界があったため,計画の一部は楽観的すぎたとも言える.その問題を乗り越えるために意味役割付与システムをしたが,思ったより効果はまだ薄い.学習のデータを増やす方法をいくつか試して、Precisionを上げたが,問題のRecallを次年度に改良する予定である.コンセプトネットの知識を増加するためにAugumented Reality等の技術を利用してみたが、十分な結果に届かったが、2013年度の予定の対話処理の部分が思ったより進んだので、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語のConceptNetのエントリーが20倍増えたため、常識的知識の処理で意味役割付与システムの誤りの減少を目指す。そうすると作成予定の対話システムにおけるユーザビリティの改善が可能になると考えられる。従来のシステムでは利用者の話題の変動が激しく、応答デー タベースに頼ることのできない場合には、自然な応答はほぼ不可能である。それに対して提案アルゴリズムを装備すれば、その倫理的コモンセンスの処理を通じて、対話システムに慣れていないユーザ(子供、 高齢者)の入力に対しても「適切な」応答が可能となる(例えば「いじめられた」、「死にたい」といった倫理学的に問題のあるような入力に対しても、「適切な」応答表現が可能なシステムがここでは期待できる。 言語入力で動作するシステムの安全装置を開発する。相手と対象の関係にリスクの存在可能性 がある場合、システムがそれを認識し危険回避を自動的に行う(例えば子供がナイフやライターを欲しがる時にはシステムが拒否する)。 掃除ロボットなど家事ロボットのユーザビリティを改良する必要がある。家事ロボットには、清掃対象の部屋にいる人に対する迷惑を判断したり、部屋を片付けていない状態と清掃前の状態を区別することができない。しかしこのアルゴリズムを通じて、ピアノの練習をしている人のいる部屋の清掃を後回しにしたり、子供が玩具を散らかしたままの部屋については清掃しないといった自動的な判断が可能となる。 最後に非倫理的行動パターンの調査非倫理的行動を発見するウェブスパイダーの開発を通じて、近年社会問題化しているネットでのいじめの発見や犯罪計画の通報などを自動的に行いうるシステムを実装する予定である。上記のシステムの動作報告および実験結果の発表を行い、そのフィードバックを通じてシステムの精度を改善したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)