2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の記憶モニタリングの正確性と影響要因に関する縦断的実験研究
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24700262
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20402985)
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Keywords | 記憶モニタリング / 加齢 |
Research Abstract |
高齢者は自身の記憶能力を適切に評価することが困難であり,いくつかの研究は記憶に対する評価が高い高齢者ほど,記憶成績が悪いことを報告している(記憶のエイジングパラドクス)。この記憶に対する評価(メタ記憶)と実際の記憶成績の乖離は,加齢による記憶機能の低下に対する自発的な対処を阻害する原因となり,「薬の飲み忘れ」,「約束を忘れる」といった自立した生活や社会活動上の問題を引き起こす。本研究事業では,高齢者の記憶機能低下に対する新たなアプローチの開発を目指して,高齢者のめた記憶の中でも記憶モニタリングに着目し,適切なあるいは不適切な記憶モニタリングに影響する要因を縦断的に検討することを目的としている。 本年度は,高齢者の「オレオレ詐欺」の被害増加が近年社会的問題となっていることをふまえ,人物の声に関する課題を作成し,成人を対象とした実験を実施した。実験の結果,人物の自己紹介の内容の記憶成績と比べて,人物の声そのものの記憶成績は低く,若年者においても声の再認が困難であることが示され。また,音声再認課題に対する記憶モニタリングは実際の記憶成績を予測していなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,人の音声刺激を作成し,人物の自己評価と人物の声の記憶課題を一般成人に実施した。計画は当初の予定どおり進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の計画どおり,これまでに作成した課題を高齢者に実施し,加齢による認知機能の低下と記憶に対するモニタリングがどのような関連性にあるのかについて検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験実施における学生アルバイト及びアルバイトの旅費を計上していたが,本年度は学生アルバイトを必要としなかったため,次年度使用額が生じた。 本年度は,高齢者を対象とした実験を複数回実施する予定であり,学生アルバイト及びアルバイトの旅費として,次年度使用額を執行する計画である。
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