2013 Fiscal Year Research-status Report
顔表情認知における母親顔特殊性をもたらす神経ネットワークの解明
Project/Area Number |
24700264
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
篠崎 淳 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30510953)
|
Keywords | 顔表情認知 / 脳機能イメージング / 閾値下刺激 |
Research Abstract |
本研究の目的は、母親の怒り顔に対する前頭前野内側部の特殊な反応(母親顔特殊性)について、母親との情動的関係性(愛着型)で説明可能かについて検討し、母親顔認知ネットワークと他者顔認知ネットワークとが2つの異なる神経基盤によって成り立っているのかを明らかにすることである。 このために、前年度までに閾値上・閾値下提示を利用した機能的MRI実験を17名の被験者を対象に行ったが、スキャン中のトラブルなどあり、確実にデータをとれたのは12名であった。この12名を対象に機能的MRI画像について集団解析した結果、自身の母親の怒り表情を閾値下に提示すると、外側眼窩皮質が活動することがわかった。同部位の反応は他者の母親の顔表情認知や、自身の友人の顔表情認知ではみられなかったことから、外側眼窩皮質は自身の母親怒り表情の閾値下知覚に特異的に関与することが示唆された。 さらにこの12名の被験者を対象に、刺激提示時間と表情認知との関連を調べるため、行動実験を行った。刺激提示時間幅を、ディスプレイの1フレームである16.7msから16.7msずつ増加させ、その際の表情の正答率を求めた。その結果、自身の母親の笑顔表情は他の表情や他者の表情よりもすばやく認知できることを示した。 これら、機能的MRI実験および行動実験の結果ついて、第43回Society for Neuroscienceにてポスター発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、被験者20名程度にて機能的MRI実験を行う予定であった。しかし、機能的MRI撮像の際にスキャナトラブルなどにより撮像できないことがあり、データとして有効な被験者数が12名と充分でない。このために、当初計画よりもやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.現在スキャナは安定して稼働しているので、被験者数を20人程度まで増やすことにより、実験データの精度を高める。 2.外側眼窩皮質を関心領域としてDynamic Causal Modelを用いて領域間の機能的結合を調べる。 3.外側眼窩皮質を関心領域としてFSLを用いて解剖学的結合を調べる。 4.得られた成果について論文発表を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年5月10日、2012年5月31日、2013年6月12日、2013年6月26日、2013年7月10日それぞれ、fMRIスキャンを予定していたが、スキャナが撮像中に突然停止することや、レスポンスボタンの不具合等により実験遂行ができず、必要な被験者数に達しなかったため、次年度に繰り越して実験を行う必要がある。 被験者数が20人となるよう実験を遂行する。 次年度には10人程度の被験者を対象に機能的MRI撮像を行う。 次年度使用額は被験者謝金に使用する。
|
Research Products
(3 results)