2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24700281
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清 智也 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20401242)
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Keywords | 統計数学 / 最適化 / ホロノミック勾配法 / 不均衡データ / 二項回帰モデル / 極値理論 / 情報幾何 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,Bingham分布族の正規化定数が満たす偏微分方程式系について深く考察し,ホロノミック勾配法の理論の発展に貢献した.また,Fisher-Bingham分布族の正規化定数に対する既存の結果も見直し,理解し易い結果を得た.ここで,Bingham分布およびFisher-Bingham分布とは,球面上の確率分布であり,このように球面上のデータを扱う分野としては方向統計学がある.ホロノミック勾配法とは,方向統計学に限らず,多重積分を含む困難な数値計算を回避するための一手法である. また本年度は,不均衡なデータセットの判別問題における二項回帰モデルの挙動についても考察した.ここで,不均衡なデータとは,判別すべき2値ラベル(1か0か)の頻度が非常に偏っているようなデータのことであり,例えばサーバーへの不正アクセスのデータ(不正か否か)などが該当する.このような不均衡性の数学的極限を考えるとき,ロジスティック回帰モデルがポアソン点過程モデルに収束するという結果が知られていた.この既存結果に対し,ロジスティック回帰以外の二項回帰モデルに対しても同様の極限定理が成り立つことを示し,さらに収束先のポアソン点過程の強度関数がべき乗の形に限られることも示した.本研究は,情報幾何学や極値理論への新たな視点を与える結果となった.
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