2013 Fiscal Year Research-status Report
対称性のモデルとその分解を用いた多元分割表統計解析法の研究
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24700282
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田畑 耕治 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30453814)
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Keywords | 分割表解析 |
Research Abstract |
Tahata, Yoshimoto and Tomizawa (2013) は,得られたデータに対して周辺同等モデル (Stuart, 1955) の当てはまりが良くない場合に,周辺同等性からの隔たりを測る尺度を導入した.導入した尺度は,Tomizawa, Miyamoto and Ashihara (2003) で提案された尺度の拡張である.先行研究の尺度が最大値を取るための条件は非常に厳しいものであるため,提案尺度ではそれを緩和した.また,提案尺度と拡張周辺同等モデル (Tomizawa, 1984) との関連性について述べ,提案尺度の妥当性を主張した.Tahata, Akinaga and Tomizawa (2013) は,対称モデル (Bowker, 1948) からの隔たりを測る尺度を導入した.対称性からの隔たりを測る尺度に関する研究は数多く存在する.提案尺度の利点は,隔たりを測る指標が直感的に理解しやすいことである.さらに,尺度の推定方法と尺度の推定量の漸近分布を与えた. 対称モデルがデータにうまく当てはまらないとき,その原因を考えるためにいくつかの対称モデルの分解が与えられている.Tahata, Yamamoto and Tomizawa (2013) は,累積2比パラメータ対称モデル (Tomizawa, Miyamoto, Yamamoto and Sugiyama, 2007),平均一致モデル,グローバル対称モデルを用いて,新たな対称モデルの分解定理「対称モデルが成り立つための必要十分条件は,累積2比パラメータ対称モデル,平均一致モデル,グローバル対称モデルのすべてが成り立つことである」を与えた.実際のデータ解析において対称モデルが当てはまらない場合に,この定理によってより詳細な解析が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において,先行研究の整理を終え研究課題に挙げた各テーマに対する具体的なアプローチの方法がまとまりつつある.また,一つのテーマである「新しい非対称モデルの提案と対称モデルの分解」については,研究発表の項目に記述したように論文を3編発表した.しかし未だに未解決なテーマとして,モデル分解の情報幾何学的解釈の考察,グラフィカルモデリングとの関連性の考察,分割表解析のベイジアンアプローチ,分割表解析における多重比較問題の考察が残されている.論文として発表こそしてはいないが,どのテーマに対しても先行研究の調査を終えており,小さな研究成果も徐々に得られているため概ね計画通りと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に取り組みたい研究テーマとして,(1)モデル分解の情報幾何学的解釈の考察,(2)グラフィカルモデリングとの関連性の考察,(3)分割表解析のベイジアンアプローチ,(4)分割表解析における多重比較問題の考察,の4つがある.そのそれぞれに対して,小さな研究成果は得られつつあるため,今年度はそれらを論文としてまとめたい.実現可能性の高いテーマから取りかかる予定であり,(3)と(4)については平成26年度の年末までを目標に取り組む予定である.また,(1)と(2)に関しては,論文としてまとめられる可能性は(3)と(4)と比較すると低いけれども年度内に成果が出せるように最大限の努力をする予定である.これらを実現するために,可能な限り研究する時間を作り,また行き詰まった場合には積極的に国内外の学会・シンポジウムに参加し,それぞれの分野の専門家の意見を聞きながら,目標の達成を目指したい.既に2014年5月に開催される日本計算機統計学会,応用統計学会・日本計量生物学会,および2014年8月に開催される21th International Conference on Computational Statisticsに参加する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:平成24年度にハードディスク,ソフトウェア,タブレットPCなどを購入し,研究環境の整備を行った.そのため,平成25年度は新しい備品や消耗品の購入が必要なかった.人件費・謝金:平成24年度にアルバイトをした大学院生が,しっかりと仕事をしてくれたおかげで,資料の整理等で新たにアルバイトをお願いする必要がなかった.その他:幸いにしてプリンタのインク切れ,パソコンの故障などのハプニングがなかったため,使用する必要がなかった. 今後の研究の推進方策に記述したように,既に2014年5月に開催される日本計算機統計学会,応用統計学会・日本計量生物学会,および2014年8月に開催される21th International Conference on Computational Statisticsにおいて研究成果の発表を予定している.そのため研究成果発表のための国内旅費に20万円,国際会議への参加のために30万円の支出を予定している.また,消耗品等に25万円の支出を予定している.理由は,研究活動をより円滑に進めるためにノートパソコンやプリンタのトナーなどの購入を予定しているからである.さらに,論文別刷や上述の学会参加費などが必要となるため,その他の項目として約5万円の支出を予定している.
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Research Products
(7 results)