2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤の用量探索研究のデザイン及び統計的推測法の開発
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24700285
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
大門 貴志 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40372156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん臨床試験 / 用量探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療法の臨床開発過程では「用量探索研究」が実施される.本研究では,とくに多剤併用化学療法を行う場合の各抗がん剤の最適用量の決定のための用量探索研究のデザイン及び統計的推測法を開発することを目的とした. 研究期間全体の成果として,単剤化学療法の最適用量をはじめ,多剤併用化学療法の各薬剤の最適用量の組合せを探索するための既存のデザイン及び統計的推測法を国内外の統計・臨床論文から網羅的に洗い出し,それらを整理して総説論文として公表した.これにより,研究者及び臨床医は,当該研究分野の発展の経緯や最近の展開を把握できる. 当該総説論文で言及した方法論の適用にあたって,実地では用量反応関係の事前規定における不確実性のとり扱いが常に問題となっていることに注目し,その統計的な対応策を提示した.具体的には,真の用量反応関係に対してモデルを複数仮定し,Bayes流情報量基準や事後予測点検関数を通じてそのうちの最適なモデルを選択し,その選択されたモデルのもとで用量探索を行う「モデル適応的用量探索デザイン(model-adaptive dose finding design)」を開発した.とくに,そこでは,多剤併用療法の場面を意識して,各薬剤の用量及びそれらの交互作用を柔軟に組み込めるロジスティック・モデルを核にして開発を進めた.当該デザインの性能の基礎的検討として,単剤での用量探索の場合において既存のデザインと比較・評価し,実地での適用可能性を明らかにし,本研究の成果を原著論文として公表した.本研究成果は上記の問題点の解決の一助となり得る. 最終年度は,がんの分子標的薬や免疫療法といった新たな薬剤開発の動向を意識して,それらの用量探索研究のデザイン及び統計的推測法に関する調査を行い,その結果を公表した.これにより,研究者及び臨床医は,この分野の最近の動向を把握することができる.
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Research Products
(2 results)