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2012 Fiscal Year Research-status Report

動物の行動文法の定量化とその構造特性の解明

Research Project

Project/Area Number 24700291
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

笹原 和俊  名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (60415172)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords国際研究者交流
Research Abstract

平成24年度は2名の共同研究者のもとを訪れ、鳥類のさえずりのデータ採取と予備的な解析を行った。
平成24年9月には、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のTaylor教授のもとに滞在し、オオムジツグミモドキ(California Thrasher)のさえずりの野外録音を行った。さらに平成25年の8月に予定していた野外録音を3月に前倒しして行い、複数地域の複数個体のオオムジツグミモドキからさえずりを採取することができた。また、新たにチャバライカル(Black-headed Grosbeak)の複数個体のさえずりも録音することができた。複雑ネットワークを用いてこれらのデータの予備的な解析を行った結果、異なる地域のさえずりがネットワークのクラスターに分かれて表現され、異なる個体間で音要素がどのように共有されているのかを可視化することができた。これまでに採取したデータは、Taylor教授らを中心としてデータベース化の準備が進められている。
さらに平成24年11月には、ニューヨーク市立大学ハンター校のTchernichovski教授のもとを訪れ、ジュウシマツのさえずりのリズム発達に関するデータ解析を行なった。その結果、ジュウシマツのさえずりのリズムが、時間モードの分岐と水路化を伴って発達することがわかった。これはワディントンの発達理論が予測する特徴と一致する。これらの結果について、現在投稿論文を準備中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

動物の系列行動の一般的特性を調べるためには、まず、様々な動物種から十分な量の行動データが必要となる。平成24年度は、鳥類のさえずりを中心としてデータを採取することができた。現在のところ、系列行動のモデル化に利用できるデータは、オオオムジツグミモドキ、 チャパライカル、ジュウシマツ、キンカチョウの4種類の鳥類のさえずりがある。それぞれの鳥類のさえずりは複雑の性質が異なることから、これらのデータは行動系列のモデル化手法を検討するための重要な基礎となる。したがって、鳥類のさえずりデータに関しては、ほぼ予定通りに取得することができた。また、行動文法の形式化のためのヒントを得るべく、これらのデータの予備的な解析を行った。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度は鳥類のさえずりに加えて、げっ歯類のデグー(Octodon degus)の行動データも解析対象とする。デグーには階層的な行動がしばしば観察されるため、これまでの提案手法が適用できない可能性がある。階層的な行動とは例えば、大、中、小のカップが1つずつあってこれらを重ねる動作をするとき、小カップを中カップに入れて1つの大きな要素とし、それをさらに大カップの中に入れる、というような入れ子的な行動である。このような行動は、埋め込みを表現できないこれまでの提案手法では、適切に分析することが出来ない。
そこで、確率文脈自由文法を使った手法に新たに取り組む予定である。これは文脈自由文法の各生成規則に確率が割当てられたもので、チョムスキー階層においてN-gramモデルや隠れマルコフモデルよりも能力が1ランク上のモデルある。確率自由文脈文法はRNA配列の二次構造のモデル化に応用されている例がある。提案手法を用いて、デグーの行動文法の構造特性を定量化する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度も引き続き共同研究者のもとで、鳥類のさえずりの野外録音とデータ解析を行う。また、新たにげっ歯類のデグーの自由行動のデータ記録も行う。共同研究者のもとに滞在するために旅費を使用する。また、行動データを保存し、解析するために、外付けのハードディスクやメモリ等のコンピュータの周辺機器を購入する。さらに、最新の動物行動学に関する知見を仕入れ、研究成果を報告するために学会に参加するために旅費を、研究成果をまとめて論文投稿をするために論文掲載費と英文校閲の費用がそれぞれ必要である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Structural Design Principles of Complex Bird Songs: A Network-Based Approach2012

    • Author(s)
      K. Sasahara, M. L. Cody, D. Cohen, and C. E. Taylor
    • Journal Title

      PLoS ONE

      Volume: 7 Pages: e44436

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0044436

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 大規模データに基づく動物行動学の新展開2012

    • Author(s)
      笹原和俊, 高橋美樹, 鈴木研太, 岡ノ谷一夫
    • Journal Title

      人工知能学会誌

      Volume: 27 Pages: 418-423

  • [Presentation] 鳥の複雑なさえずりの進化的デザイン2012

    • Author(s)
      笹原和俊, Martin L. Cody, Charles E. Taylor
    • Organizer
      日本動物行動学会
    • Place of Presentation
      奈良女子大学
    • Year and Date
      20121123-20121125

URL: 

Published: 2014-07-24  

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