2013 Fiscal Year Annual Research Report
シミュレーションによる混合膜中の膜タンパク質間相互作用機構の解明
Project/Area Number |
24700299
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮下 尚之 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (20452162)
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Keywords | 膜タンパク質 / アルツハイマー病 / アミロイド前駆体タンパク質 / コレステロール / ラフト |
Research Abstract |
生体膜は様々な脂質分子や膜タンパク質などから作られている。生体膜内で様々な脂質が相互作用しているが、スフィンゴ脂質やコレステロールなどが多く集まったラフトと呼ばれるナノドメインを作ることが知られている。近年、そのナノドメインと膜タンパク質との相互作用がタンパク質の機能に影響し、疾患や細胞活動に影響する事がわかってきた。本研究課題はラフト様環境中での1回膜貫通ヘリックスを持つ膜タンパク質の二量体構造への影響についての研究であった。 これまでラフトを構成するスフィンゴ脂質やコレステロールの膜タンパク質への相互作用について、膜タンパク質間相互作用の研究分野で十分理解されているわけではなかった。しかし最近、このコレステロールと膜タンパク質との相互作用の研究は注目を浴び、関連する実験研究が増えてきた。そこで本年度は注目されているラフト様環境と膜タンパク質との相互作用についての研究を重点的に行った。また、目的である二量体形成とコレステロールとの相互作用についての研究も実施した。 ごく最近の実験研究では、APPではGxxxGモチーフという二量体のインターフェースにコレステロールが結合するという報告がなされた。本研究課題ではアミロイド前駆体タンパク質(APP)とモデル膜タンパク質であるWALP23をターゲットとし、脂質分子と膜タンパク質との相互作用についての研究を実施した。 本研究によって、APPはWALP23よりコレステロールと相互作用する事がわかり、GxxxGモチーフにコレステロールが集るという実験結果をサポートする提案ができた。更に、実験研究ではコレステロールが”静的”に結合しているのではないかとの提案がされていたが、本研究結果から多くのコレステロールが入れ替わり立ち代わり”動的”に結合している事が提案できた。また、APPはコレステロールの分布に影響を与える事も提案する事ができた。
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Research Products
(9 results)